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コネタ


コネタ080
 
ドラゴンフルーツという名の果物

 友達がこんな話をしていた。
「知り合いにドラゴンさんって呼ばれている人がいて、どうしてなのか聞いてみたらドラゴンフルーツに似てるからっていうの。」
この話を聞いたとき僕はドラゴンフルーツというものを知らなかった。フルーツというくらいだから果物なのだろう、とは思ったけれどそれ以上には何も想像することができなかったのだ。

 それからしばらくの間、僕の中でドラゴンさんのイメージばかりが一人歩きしていった。それは僕の大好きな燃えよドラゴンに出てくるブルース・リーのような堂々とした人だった。会いたい、ドラゴンさんに会いたい。僕の気持ちは募るばかりだった。本当のドラゴンフルーツを目にするまでは。

安藤 昌教



え?

なんじゃこりゃ

 僕とドラゴンフルーツとの出会いは突然だった。

 ある日のこと、スーパーで買い物をしていると果物コーナーに見かけない物体を発見した。

 なんじゃこりゃ

 宇宙から来たみたいなルックスにけばけばしい赤。シャア専用の乗り物みたいだ。気持ち悪い植物だなあ、と思わず眉間にしわを寄せながら値札を見ると、ドラゴンフルーツ298円と書かれている。

 え、これがドラゴンさん?

 にわかには信じがたいが、このわけのわからん物体が正真正銘のドラゴンフルーツなのでした。うひゃー。


何か飛び出してきそうな勢い

 そうか、これがドラゴンフルーツだったのか。僕の中のドラゴンさんのイメージが、がらがらと音を立てて崩れていった。これではブルース・リーどころか、どちらかというとドラゴンボールの方が近いではないか。これに似ている人というのはどうなのだ。いじめにつながったりはしないのか。

 だけどせっかくの出会いを大切に。すぐさま購入し食べてみることにした。

 ドラゴンフルーツはサボテン科に属する中央アメリカ原産の熱帯植物とのこと。暑い沖縄は生産に適しているらしく、市場やスーパーなどでも普通に売られている。それにしてもこのルックス、食べられるのを拒んでいるとしか思えない。


中には黒い種子がみっしりと

 包丁を入れると、いかつい見た目の割りに皮も果肉も柔らかかった。半分に割ると中もやっぱり鮮やか過ぎる赤。しかも黒くて小さな種がぎっしりと詰まっていて見るからに毒々しい。強力な色素でまな板が真っ赤に染まった。これはコンビニとかのレジに置いておけば強盗の車にビチャっと投げつけるカラーボールの代わりになるかもしれないぞ。

 恐る恐る食べてみた。

 ・・・

 ん!なっ、なんだ!

 意外や意外うまいではないか。瑞々しい果肉はほんのり甘酸っぱく、食感は食べごろの洋ナシを連想させる柔らかさ。みっしり詰まった小さな種も、たまにプチプチ音を鳴らして食感にインパクトを与えてくれる。あえて例えるならキウイが近いか。キウイといっても最近CMでおなじみの黄色くて甘いやつ。

 後で知ったのだが、ドラゴンフルーツには果肉の赤い種類と白い種類があるらしい。いつか白い方も食べてみたい。


ドラゴンさん予想図

 ドラゴンフルーツのファーストインプレッションは強烈なものだった。初めてこれを食べた人の勇気には敬意を払いたい。しかしいざ食べてみると、これがハマりそうなほどうまいのだ。現に筆者はその後、スーパーに行く度にドラゴンフルーツをチェックしてしまっている。

 ところでドラゴンさんだ。
いったいドラゴンフルーツに似た人ってあり得るのだろうか。

 筆者のつたない描画力で想像上のドラゴンさんを表現してみた。
止めておけばよかった、と思った。


 

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