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コネタ


コネタ054
 
コンニャクをやりとりするお祭り

コンニャクを供えたり、かと思えば無料でもらえたりするお祭りがあるという。毎年2回、1月と7月に東京小石川の源覚寺で開かれる眼病祈願で有名なお祭りなのだそうだ。

眼病祈願になんでまたコンニャクを?

疑問を抱きつつも、丁度疲れ目が気になっていたところ。目の健康を願ってコンニャクをやりとりしてきました。

古賀及子

地下鉄表示にもハッキリと。えんま通り商店街を抜けると源覚寺が見えてくる
ビルとビルに挟まれて提灯。この下に葬儀の看板が
コンニャクではなく、ほおずきを待つ人々。奥がえんま堂

「こんにゃくえんま」という寺

東京の小石川にある源覚寺は通称「こんにゃくえんま」と呼ばれる。

なんでもその昔、目を患った老婆がここに祀られる閻魔さまに回復を祈願をしたところ完治、そのお礼に自分の大好物であるコンニャクを絶って供え続けたという言われがあるんだそうだ。

それにしてもエンマに対してコンニャクっていうのはどうなんだろう。相容れない単語のぶつかり具合が勝新太郎さんの「兵隊やくざ」みたいだ。しかし、地下鉄の表示にもきっちり載っていたりして、「こんにゃくえんま」の通称は完全に市民権を得ているようだった。

ここがそうなの?

訪れたのは7月15日。この日と翌日が「こんにゃくえんま大祭」となっている。大祭は年に2回で7月を過ぎると次は1月だ。

さぞ大きく盛り上がっているんだろうと思っていたが、商店街を抜けたところにあったのは意外なほどコンパクトなお寺さん。祭り期間中のはずが、個人の葬儀が行われているようす。

入り口には葬儀の看板が大きくでていて「こんにゃくえんま大祭」とはどこにも書いてない。

何かの間違いかと入ってみると、今度は白いテントの下に作業着のおじさん達が大勢何かを待っている。こんにゃくえんま大祭の関係で集まっているのかと聞いてみたら違うらしい。次の週から行われるという「ほおずき市」の準備に集まったそうだ。

ほおずきの到着が大幅に遅れているそうで、何やらイライラしている皆さん。
「こう暑いところ待たされるとねえ、みんな気が立っちゃっていけねえ」

江戸っ子節で怒っている。火の粉がかからないうちに奥にあるえんま堂へ向かった。

そして賽銭箱の両隣にコンニャクはあった!

「参詣の方のお持ちになったこんにゃくはこの桶にお供え下さい」
桶から溢れんばかりのお供えのコンニャクが
そしてこちらが参拝した人がもらえるコンニャク
「えんまさまとご縁つなぎ お一人につきこんにゃく一枚ご自由にお持ち下さい。 合掌」

えんま堂のとなりでは地獄絵図の展示も
展示はかなりアットホームでした

こんにゃく、やりとりしました

気持いいほど地味だ。が、確かにコンニャクがやりとりされている。「こんにゃくえんま大祭」は行われていた。

私も厳かに先ほど近所のスーパーで買ったコンニャクをお供え。そして「えんまさまとのご縁つなぎ」と書かれたコンニャクを一つ頂戴した。

お寺の方に聞くと、大祭は1月も7月も「だいたいこんなもんです」とのこと。派手にやるわけではないが、熱心に毎回かならずコンニャクを備えに来る方も多いという。私も、目の健康をよくお願いした。

ちなみにコンニャクは中性脂肪や血中コレステロールを低下させるほか、腸の働きを活発にして 有毒物を体外へ排出その上降圧効果もあるそうで。周り回って目にもよい効果があるんじゃないかと強引に考えつつ、頂戴したコンニャクは田楽にして食べました。

 

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