今から20年以上前に、広島大学の薫風寮という学生寮で暮らしました。寮と言っても、そこはかつての陸軍被服工廠だった建物(煉瓦造り)を住めるように改造しただけのもので、外側の鉄の扉や窓は原爆の爆風でゆがんだままで、閉じることすらできませんでした。玄関には鍵もないので、時々コソ泥が忍び込んだり、近所の子供が恐る恐る探検に訪れたり、ある時には観光バスが立ち寄り、バスガイドが「戦争の貴重な遺物で、今は廃墟と化し近寄る人はいません。」と紹介しているのを聞き「住んでいる人がいるのに。」と笑ったこともあります。寮費は月々わずか100円(食事なし。風呂はあり。水光熱費は別途実費負担。)でしたが、貧乏な学生ばかりだったので、年額1,200円の滞納を文部大臣名で督促されている者もいました。当然プライバシー等は全くなく不衛生極まりない男子寮でしたが、過激派や新興宗教の巣窟でもなく、先輩方からはとても親切にしていただいたことは今となっては楽しい思い出です。医学部や歯学部に通う先輩方が、頭から布団を被って試験勉強していた姿が印象に残っています。5〜6年前に立ち寄りましたが、辺り一帯が立ち入り禁止で封鎖されていました。歴史的建造物として広島市が保存する計画もあったようですが、耐震性も問題や保存に係る経費の問題で難しいとも聞きました。全国的にも珍しい名物寮だったので、廃止される時には「ニュース23」でも取り上げられたと聞きました。今でもまだ封鎖されたまま建物は残されているのでしょうか?遠方の県外に在住で今後も見に行く予定もないので、どなたか見てきてくださればありがたいです。よろしくお願いします。 |