「豊稔池ダム」
竣工当時のスペックだけ見れば、堤高30メートルの農業用ダム。
人間に例えるなら、どこにでもいる平凡な新入社員だ。
しかし人々を惹きつける独特のルックスによって愛され、耐震強化工事の際は「外観は変えないで」と地元から要望が出たほど。
下流を渇水から救ったその仕事ぶりも評価され、国の登録有形文化財に、その後重要文化財に指定。さらに時代のニーズによって治水の用途が追加、なんと多目的ダムに進化を遂げた。
真面目な仕事ぶりと時代の流れを掴む運の強さ、そしてルックスに裏打ちされた人当たりの良さによる、たたき上げサラリーマンの出世を見るようで、かっこいい。
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