缶詰の宇宙がそこにある「牛肉大和煮」

大和煮、って何のことだろうと思って調べたら「質の悪い肉でも食べられるように、濃い味で煮つけた肉料理」とのことだった。がーん。
こいつは、質の悪い肉なのか。
食べる前から何だか悪いイメージが先行する。

しかし開けてみるとそのイメージは一変した。
スジを丁寧に避けるように、かつ脂身を少しだけ残すように、きれいにカットされた肉。そのへんの100円缶詰とは一線を画す上流階級の食いものだ。お中元に送っても恥ずかしくない。
これはうまそうだ。一気にテンションが上がる。
猫が金のモンプチを開けてもらった時の気持ちが分かる気がした。

せっかくなので温めて食べた。
脂身もとろとろに溶けて、赤身の旨さを大胆に解放させる。
ものすごくうまい。うまいのだが、味が濃い。この濃い味に舌が飽きたら、大根おろしがある。
肉からの大根おろし、大根おろしからの再び肉、このエンドレスループが続き過ぎないよう、芋焼酎で唇をうるおす。
あっという間に肉も焼酎も無くなる。無くなったあとは、汁と大根おろしをご飯にかけて食べる。これもうまい。
残業から帰った30代の胃にやさしく甘く染みわたる。

大和煮。おつまみからおかずまで、そこには一つの宇宙があった。

購入価格 498円
メーカー：ノザキ

（加藤まさゆき）

( 2012/04/30 07:00:00 )