埼玉のおふくろを思い出す「さば味付みそ煮」
さばのみそ煮と聞いて、いわゆる「おふくろの味」を思い出す人も多いだろう。だが、僕の母の料理レパートリーには、残念ながらさばのみそ煮はなかった。ちなみに母の名前は「京子」という。料亭の女将みたいな名前なのに、ハンバーグやロールキャベツといった「肉を使った洋食」が得意なのだ。そういえば前回実家に帰った時も、京子はステーキを焼いてくれた。親心なのか、やたらと肉を食わせて栄養をつけさせようとするのだ。去年会社を辞めた息子のことを、肉が食えないほど貧乏だと思っているのかもしれない。
そんなアメリカナイズされた食文化の中で育ったぼくにとって「さばのみそ煮」は憧れのおふくろの味である。定食屋などでうまいさば味噌に出合うと嬉しくなり、思わずその店の女将を「心のおふくろ」に認定してしまう。結果、現在近所におふくろが5人いる。
炊きたてのごはんに暖かい味噌汁、そしてさばのみそ煮。さばのみそ煮をご飯にバウンドさせれば、際限なくご飯がすすむ。日本人であることを心から幸せに感じる瞬間だ。そしてふと、埼玉の母を思い出す。僕が住む東京都江戸川区から実家までは電車で1時間足らず。「いつでも帰れるから」と思いながらも、逆に足が遠のき、気づけばもう1年は母の顔を見ていない。そうだ、週末は実家に帰ろう。そして久しぶりに京子が焼くステーキを堪能しようと思う。購入価格 105円メーカー:富永食品(榎並紀行)
( 2012/04/30 06:00:00 )