風、にこめられた揺れる心「ムール貝の白ワイン蒸し風」

「白ワイン蒸し風」である。

すき焼き風、関西風、韓国風などなど。風がつくことで「ズバリではないけどおおむねこんな感じだと思っています」的なある種の「遊び」というか「逃げ」の部分を残した印象がある。

今回のムール貝も「ワイン蒸し」と言い切れないところに気持ちの弱さが垣間見えるが、これを生産者の正直さとプラスに評価することもできるだろう。「風」を付けるか付けないか、きっと社内で議論したに違いない。

アサリや赤貝などの国産二枚貝と同じくパッケージには「かにが共生しています」との情報が明記されていた。

ムール貝というほとんど見たことも食べたこともない貝だったが（名前だけは知っていました）、アサリと同じ注意書きでくくられていると思うとぐっと身近に感じられる。ワイン蒸しじゃなくて酒蒸しにしてやりたい。

貝のうまみを感じられる薄目の味付けの中にも、しっかりと香るワインの風味が上級品をアピールしている。少し物足りないなと感じたら、お好みでパセリやバジルを合わせてみてもいいかもしれない。

いま知った風に提案してみたが、要するに酒のつまみにはちょっと薄味なのでなじみの調味料を一つ足してみたらよりうまくなるかもよ、ということです。

醤油をたらしたい欲求をなんとか押さえてバジルと塩を少しだけ足してみた。正直言って赤貝の煮付けの方が好きだが、こういうものを好んで食べる人が結局モテるんだと思う。


購入価格 398円
メーカー：缶つま

（安藤昌教）

( 2012/05/03 18:00:00 )