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クラブ活動
 

雨乞い部

清浄な水をけがす


 また晴れてしまった。やっぱり洗面器ではダメだったか。うすうす感づいていたのだが、なんとなくそれでもいいような気がして、なあなあですませてしまった。自分の流されやすい性格が災いしたようだ。魔がさした、と言ってもいい。反省している。乾燥もしている。早く雨を降らせねば。


 今日は「清浄な水をけがす」だ。これは自然信仰の強い地域でよく見られる雨乞いの様式だ。水を汚して水の神様を怒らせようという作戦である。
 清浄な泉に、動物の死体などを投げ込む。そうすると怒った神様は「これでも食らえ!」とばかりにたたりを起こす。村に豪雨を降らせるのだ。村人は「わー水の神様がお怒りだー」とか棒読みで叫びながら、内心しめしめとほくそ笑んだりするのだ。これはワルだ。かっこいい。そしてうらやましい。僕もほくそ笑みたい。


 さて、現代人にとって清浄な水といえば、あれだ。ミネラルウォーター。今回使用するのは、霊験あらたか、富士山のバナジウム天然水だ。神聖さが増すようにしっかり冷蔵庫で冷やしてある。一方、自分の手のひらを見ると、なんと真っ黒。昨日の会社帰りに泥遊びをして、そのまま手を洗わずに寝てしまったのがまずかったらしい。ちょうどいい。この手で聖水をけがしてやろうじゃないか。
 

 水をダバダバと手のひらに注ぐ。ボトルから出た水は朝日を反射してきらきら輝いているが、手に触れた瞬間、どす黒い土色になる。グヘヘヘとできるだけ下品な薄笑いを浮かべながら手を洗う。ところが、なんということだろう、手がだんだんきれいになっていくにつれて、なんだか心まで洗われるような気持ちになってきてしまった。まだ眠い体に、冷たい水が心地よいのだ。朝日もなんだかすがすがしい。生きてるってすばらしい!!
 こうしてすっかり毒抜きされてしまい、晴天の中、上機嫌で会社に向かった。青空って気持ちがいいなあ。


清浄 vs 不浄自分の身を犠牲にして浄化を施す富士山水




 結果:昼ごろに雷雨


 このクラブ活動、長期戦を覚悟していたのだが、意外に早く雨が降った。皮肉なものだが、青空のすばらしさを噛み締めた数時間後の話だ。とはいえ、雨乞い部としては立派な成果である。ここは素直に喜んでおきたい。
 やったー!イエーイ!イエーイ!

( 2007/05/16 01:30:00 )




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