誰しも一度はお思いになったことがおありでしょう、「酢豚というネーミングってどうなのよ」と。だって、あんまりじゃありませんか。酢と豚ですよ。他にも調味料や野菜といった登場人物がたくさん登場するというのに、酢と豚オンリーですよ。その周囲への気遣いの無さにはハラハラさせられます。

本人たちは「恋する二人は周りが見えないの」と満足げですが、醤油や砂糖には「いつまで自分たちの世界に浸ってるつもりかしら」と陰口を叩かれ、ピーマンや玉ネギも「オレたちの緑や白でアイツの茶色を引き立たせてやってるのに何様のつもりだ」と怒っています。「だいたいアイツだけ衣で揚がってるから“あん”がよく絡まりやがってよ。オレたちなんてツルツルだぜ」と怒りはエスカレートするばかり。

しかし、どんなに仲の悪いグループでも、共通の敵が現れれば途端に一致団結して力を合わせると申します。今日も彼らは全力でこちらに向かってきました。「おう、あいかわらず内輪揉めか」と言いながら上から目線で食べる酢豚のおいしさは、こんなところからも来ているのだと思います。 ( 2006/11/24 23:54:00 )