もちろん、「のぞき」はいけない。しかし、壁にちょっとした穴が空いていて、そこから向こう側の部屋の明かりが漏れていたりしたら……。ちょっと覗いてみたくなるのが人情なのではないだろうか? ドキドキしながら穴に顔を近づけて向こう側を覗く。もちろんいけない事なのだが(しつこい)、ちょっとでもその感覚を味わう事は出来ないか。
という訳で、「のぞき穴付きの板」を持ち歩き、日常の光景を、あたかものぞき見しているかの様に演出してみる事にした。
のぞき穴から見る世界はいつもと違って見えたのか?
(text by 住正徳)
「105円でのぞき穴を作る」
のぞき穴から色々なものを見る為に、携帯出来る「のぞき穴付きの板」を用意する事にした。
そして、東急ハンズ。
なるべく壁っぽい材質の板を選び、穴空けの加工処理をお願いする。板の中央に直径3センチの穴を作ってもらう。加工費用は105円だ。
出来上がってから気付いたのだが、これは鍵穴ではない。鍵の「型抜き」だ。 こんな穴で開け閉めする鍵なんて見た事ない。
鍵穴の方は210円かかったが失敗に終わった。
フォトショップといえば、あれだ。今回の企画、普通に撮影した写真に後からフォトショップで黒い縁取りをつければいいんじゃないか、そんな風に思われるかもしれない。 しかし、そうじゃない。実際に穴からのぞいてみる事で、日常的な光景に「のぞき見」のドキドキを導入する。それが目的なのだ。
普段見慣れた風景がこの穴越しにどう変化するのか? この目で確かめるため、板を持って町に出る。