多摩川の河原で待ち合わせ
私のラップにかける情熱をミスター林に説明したところ、そういうことだったら生まれ育った場所でラップを作ったらどうでしょう、という提案をいただいた。
自分のルーツを歌詞にしてラップで歌うという寸法だ。ラップには魂を込める必要があると考えていたので、ミスター林の提案はとても理にかなっていると思った。
「では、登戸の河原で待ち合わせましょう」
とミスター林からメールをもらった。
確かに私の実家は登戸にあるが、多摩川の河原で生まれ育った訳ではない。なぜ、河原で待ち合わせなのか。ミスター林の中で登戸イコール多摩川の河原ということになっていて、それはイコール私が河原で生まれ育ったということになってやしないだろうか。それは大きな間違いだ。いつかミスター林の誤解を解かなければならない。
高架下で作詞
私の実家に近い多摩川の河原であるが、デイリーポータル11年の歴史の中でこの場所にはちょこちょこと訪れている。糸電話で市外通話を試みたり、ペットボトルロケットを飛ばしてみたり、ペットボトルの筏で川下りに挑戦したり、時代劇の撮影をしたり。
子どもの頃よりも30才を過ぎてからの方が頻繁に河原に来るようになった。
あの頃の未来に僕は立っているのだろうか。
とにかく、この場所でラップの作詞をしていく。 |