モーニング焼き鳥
三日目、訪れたのは焼き鳥屋である。前日の残りをチンしたものなら経験あるかもしれないが、店の炭火焼き鳥を朝からは非常事態だ。
渋谷の24時間焼き鳥屋といえば山家。朝から炭火の焼き鳥を食べる。
いらっしゃいませー、と突き出しを出したあとに店員さんがその場を離れない。そうか、ドリンクオーダーか。おなか痛いのかと思った。
お茶とメニューをいくつか選び、「とりあえずそれで」と言いそうになる。とりあえずも何も、今日は飲みに来たのではない。
突き出しはかにみそ豆腐。期せずして魯山人みたいな朝食になってきたぞ。
→ 『唐突に食通メニューが入る』
豪華朝食できた!
焼き鳥屋には思ったよりも朝食にできそうなメニューがあった。
頼んだのは、焼き鳥盛り合わせ、もつ焼盛り合わせ、湯豆腐、しらすおろし、突き出しのカニ味噌豆腐、味噌汁、ご飯。どんでんどんでん出てくるメニュー。旅館だ、これはもう旅館のそれだ。
いや、旅館などといったら焼き鳥屋に失礼だろう。でもそう言ったら旅館に失礼になるし……しまった、これは袋小路だぞ(!)
→ 『居酒屋メニューで朝食は作れる』
焼き鳥はいつでもうまい
こうやって見ると外国人の間違った日本の朝食みたいだ。大体合ってるんだけど、こんなに豪華じゃないかな、あ、それと焼き鳥は朝は食べないよ、と正すくらいの。
しかし食べてみると焼き鳥は朝でもうまい。いやむしろシラフの分、朝の方がうまいかもしれない。朝の焼き鳥といえばせいぜい残り物をチンだろうけど、これは炭火の焼きたて、そりゃうまいというものだ。
ビールも合うだろうけど、起きたてにはお茶くらいがちょうどいい。ほんとはそう思ってないけど、もう自分をねじふせたい。お茶でいいんだ。焼き鳥がうまいんだから。
→ 『焼き鳥は朝でもうまいのでエライ』
周りは居酒屋モード
後ろのテーブルの会話の音が、私たちのテーブルとオクターブちがう。水商売系のお兄さんたちが、あの子にふられたらどうするこうする言っているのだ。あの人達は夜の続きだ。
朝と夜とでは会話の内容も違えば、音の高さも違うのだ。そしてそんなお客さんばかりのこの店全体が夜だ。
夜の中で朝飯を食うこの感じ。今、この店で私たちだけが朝の光に包まれている。か、輝いてる(!)輝いてる私たち、これが焼き鳥朝食の醍醐味だ。
→ 『モーニング焼き鳥で掃き溜めの鶴的感覚に』
朝焼き鳥の先輩はいる
朝にはどんな人が来るんですか?と聞いてみたら、バンドマンや水商売、飲食店をやってる人、あとは外資系の企業の人なんかも来るそうだ。大体みんな夜の続き。
出勤前に来る人はいないんですか?と聞いてみたら、どうやらいるらしい。すごい、本当にいるのか。
その人はビールでなく焼酎を頼むそうだ。醸造酒と蒸留酒のちがいか、ビールだと匂いがしてバレるという。
そう、飲んじゃうのだ。そのモーニングは筋金入りだ。
唐突にご褒美
食った食った、会計は一人2,360円になった。わはは(※自腹)、高〜。突き出しシステムや味噌汁ご飯が居酒屋価格のため、ホテル級の朝食となった。
いや、せっかく食べたのだから気軽にマネできないくらいがちょうどいい。プレミアム感が高まった。
そう、焼き鳥屋での朝食は頑張ってる自分へのご褒美。ananの次の特集にどうでしょう。
→ 『次回のご褒美までがんばろうという前向きな気持ちになる』
モーニング焼き鳥も仕事はかどる
脳年齢テストの結果は33歳(通例35歳)。タイムは20分(通例20分)。お、ちょっと脳年齢があがった。
焼き鳥ともつ焼のおかげでアゴをよく動かした気がする。それで集中力が上がったのではないか。あの焼き鳥屋から東大生が出る日も近い。
取材協力
山家 支店
東京都渋谷区道玄坂1-5-7 KINGビル B1F〜2F 03-3770-0480