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はっけんの水曜日
 
昔の雑誌の『未来予想図』を鑑賞する

おぼろげなテーマの本を探す楽しみ

古書街・神保町にやってきた。恥ずかしながら、資料集めでここにやってきたのは初めてだ。


ジャンルごとに特化した店があり、頼もしく楽しい街だ。
楽しくて全然関係ない本をバババッと買ってしまう。

5〜6件回ってみるが、お目当てのものは「なんかの学習誌っぽいもの」という薄いイメージしかない。あてがあるようなないような感じでフラフラと見ていくうち、なんとなく目的のものに近い分野が集まっている本屋さんを見つけた。別件で1冊買い求め、会計のときに「“未来の世界はこうなっている!”という本に心当たりありませんか」と問うと、数分熟考ののち、「少年クラブ」という雑誌を教えてくださり、それを扱っていそうな本屋さんまで教わった。さすが神保町!ありがとうございます。

これが「少年クラブ」。先のに負けないくらい古そうだ。付録「大地球儀」がすごく気になるが付いてはおらず。

プレミア価格で3150円…くっ。定価は90円だ。森永の旧マークに免じて許そう。
それでも買ったのは「折込口絵・未来の住宅街」とあったからだ。またも小松崎先生!

少年クラブ、発行は何と「大日本雄弁会講談社」である。何人もの大男が大声で談話しているような社名だったのだ、講談社。

この号は昭和26年12月の発行。終戦から6年しか経ってない。テレビ放送もまだ始まってない、そんな時代に夢見る未来とはどんなものなのか。

その前に、こういう古い雑誌はえてして広告表現や言い回しが気になるものだ。その例にもれず、ここでも特にひっかかったものをお見せしたい。


「かならずもらえる」幻燈器!「あなたが読むかいせつのすばらしさに、みんな手をたたいて大よろこびです」と高らかに謳う。
「点取り占い」のテイストが漂う。5点。

「ツリーにかざってごらんなさい」。この口調だけで書かれた駅の案内表示とかあるといい。
あの三菱とは関係ない、ということをわざわざこう書いて知らせていたのか。ところで鉛筆の広告はやたら多かった。

少年たち垂涎の広告。何でも計れるポケット秤に、頭が不思議とはっきりして成績がよくなるバンドって!
空気銃の広告も散見される。鉛筆、空気銃は少年のマストアイテム。

ここまでもったいぶって脇道ばかり通ってきたのは、目当てのページがこの見開きだけだったからだ。1見開き、3150円の贅沢を見てごらんなさい!

これは…見慣れた光景だ。光が丘駅あたり、こんな感じじゃなかったか。

鉄筋コンクリートの建物、全戸に降り注ぐ日光、舗装道路、スポーツグラウンド、通学バス・・・「夢みたいな話」と書いてあるが、当時からしたらまさにこれが未来の街だったのだろう。ここに描いてあるもの全てが、夢の生活。これを描いた人、読む子らの気持ちを想像したら、少し何か胸に迫るような気持ちがする。

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