箱から出してみる。広がる甘い香り。先ほどのミンスミートの瓶詰めと似通った匂い。このケーキも瓶詰めも、両方とミンスミートであることがよくわかる。
しかしこちらは牛肉入り。目を凝らして探してみるが…これぞ牛肉!というものを見つけることはできない。たくさんの具がふんだんに入っていて、見分けが付かないのだ。
食べてみる。ものすごく濃厚な風味。よくあるこの手のケーキの濃さと複雑さを数倍にしたような味わい。肉の有無にこだわっていたことを忘れるような、圧倒的なおいしさだ。
姿こそ見えないけれども、肉もこのハーモニーの一部として溶け込んでいるのだろう。目には見えなくても、心に肉はある。そういうことなのだと思う。 |