外国の意外材料食品たち
ここまで日本の食品について紹介してきたが、ここでは外国のものについて探ってみたい。では早速、問題を出そう。
見た目としては「オムレツのケチャップがけ」となるだろう。それで間違いはない。その認識そのものはそれで合っている。卵は卵だし、ケチャップはケチャップだ。では、どこが意外材料食品なのだろうか。
やってきたのは錦糸町にある「フードコレクションアジアやおしょう」というお店。
店内にはアジア各国から輸入された食品がぎっしりと並んでいて、眺めているだけでも楽しい。中でも面白いと思ったのは、缶ジュースの販売形態。3〜5本がスチロールのトレイにパックされているのだ。
見たことない売り方。向こうでは一般的なのだろうか。
充実しているのは調味料関係。様々な瓶詰や缶詰が並ぶ中、写真はケチャップのコーナー。日本では見慣れないメーカーのものも、おなじみの会社のものも肩を並べている。
よく見ると、おかしなものがあるのがわかるだろうか。
バナナケチャップである。パッケージにはしっかりと「本物バナナを使ってまっせ」という表記もされている。
フィリピンからの輸入品であるこのバナナケチャップ。かの国では人気商品のようで、ごく一般的な食品らしい。ネットで調べると、トマトのものより安価で親しまれているとの情報もあったが、この店では同じ量の同じメーカーのもので比べて、バナナケチャップが283円、トマトケチャップは157円という売価。ここではバナナケチャップの方が高級品なのだ。
「ケチャップにバナナっておかしいだろ」と思うところだが、そもそも「ケチャップ」という言葉の意味は、「野菜や魚などを原料にした調味料」というものらしい。とすると、バナナケチャップも「ケチャップ」を名乗って問題ないことになる。
しかし、やっぱりポピュラーなのは何と言ってもトマトケチャップで、世界的に見ても普通にケチャップと言えば、トマトケチャップを差す物であるらしい。このバナナケチャップは着色料で赤く色をつけているが、やはりそれはトマトを意識してのことなのかもしれない。
ではこのバナナケチャップオムレツ、食べてみよう。…一般的なトマトケチャップと異なるのは、酸味が少ないこと。それゆえに、甘みの方が際だって感じられる。
普通のケチャップのすっぱさが苦手な人でも、これならいけるかもしれない。広義で考えると、ジャムのようでもある。パンに付けて食べてもおいしそうだ。
外国の意外材料食品、続いてはこちら。
卵や葉物野菜、ネギの乗ったラーメン、に見えると思う。
先ほどの問題は「ケチャップオムレツ」で間違いなかったのだが、今回のはラーメンではない。実は麺が違う。バナナケチャップと同じ店で見つけたものだ。
中華食材として扱われていたこれは、干した豆腐を細切りにしたもの。パッケージ裏面で材料欄を見ても、基本的には大豆しか使われていない。
この細切り豆腐、以前中華料理店の前菜として出てきて食べたことがある。香りのある油で香菜と和えられたその料理は、とてもおいしかった。
今回はそれを汁に入れてラーメン風にしてみた。食べてみると、明らかに麺とは食感が違う。
つるつるした食感はなく、モソッとした感じ。それが悪いわけではないのだが、見た目でラーメンをイメージしてしまっているので、かなりの違和感がある。
それでも、噛みしめるとにじみ出てくるのは豆腐の風味。一度「ラーメンじゃないんだ」ということを飲み込んでしまいさえすれば、おいしく食べられる。
ここまでいくつか「意外材料食品」を紹介してきた。続いてはお菓子のカテゴリーで探ってみよう。