粉にも空気を抱かせろ!
さっきの混ぜた卵に、薄力粉を混ぜる。 薄力粉はそのままでなく「ふるい」にかけてから混ぜる。この「ふるい」は僕の家には無かったけれど、100円ショップに売っていた。
弟がそれを見て「100円ので十分じゃん」とその商品の出来を褒めていた。ダイソーの回し者かと思う発言だが、純粋に感動していたので、世界にはいろんな幸せがあるもんだと思った。
今回使っているステンレスのボールもダイソーで買った。
薄力粉は一般に事前にふっとくそうだが、ふりたての方が空気を多く抱いているので、混ぜる直前にふるうのも手だそうだ。とにかく空気を抱かせることが美味しいケーキへの一歩らしい。
僕が「だったら、空気が美味しい、南アルプスとかで作るともっと美味しい?」と聞くと、「…変わんない」と弟は言った。久しぶりに感じた身内からの冷たい目線だった。素朴な疑問ではないか。
粉を混ぜて、その後に温めておいた「バターと牛乳」を混ぜる。下の写真のような状態まで混ぜれば生地の完成だ。たっぷりと空気を含んでいるので、初めの材料からは考えられないくらい量が増えて感じる。
念のため、「空気が美味しい、南アルプスとかで作るともっと美味しい?」ともう一度聞いたけれど、「変わらない」と弟は言った。ちょっと怒っている気がした。
型に入れる
生地を型に入れて焼く。 型の周りには紙を入れる。それ専門の紙もあるが、弟は当たり前のようにルーズリーフを使っていた。「何でもいい」とのことだった。専門家が言うのだから問題ないはずだ。
クリームを作る
スーパーに売っている生クリームには「植物性」と「動物性」がある。美味しいのは「動物性」でお店などではこちらを使っているそうだ。しかし「動物性」は安定しない(たちにくかったり、たってもその状態をキープしない)。動物性は人間で言えば反抗期みたいなものなのだ。
一方「植物性」は、たちやすく、その状態もキープできる。素人でも扱いやすい。しかし「動物性」より格段に味は落ちる。では、家で美味しいクリームを食べるにはどうすればいいのか。
答えは半分ずつ混ぜればいいのだ。
デコレーション
スポンジが十分に冷えてからクリームを作り、塗る作業に入る。一般の料理は「出来立てが美味しい」と思うけれど、ケーキはそうではなく、出来てから最低6時間後からが食べ頃らしい。
だから、お店では朝早くからケーキを作るそうだ。
弟の家に泊まりに行ったら、習慣なのか朝5時頃から当たり前のように起き始めて、もう2度と泊まりに行かないと思ったことがある。パティシエの職業病だったのかと納得した。
「パティシエはフルーツに事欠かない」と弟は言う。 デコレーションする時にフルーツを食べるのだそうだ。味見しないとフルーツは美味しさが分からない、というのが味見する理由だ。
確かにケーキは量って作るから味は想像できるけれど、フルーツはそうは行かない。食べたイチゴと、使うイチゴは別物だから関係ない気がするな〜と思ったけれど、そういうものらしい。
ぬる時は回転台を用いた方が断然いい。 ハンズで1000円弱で売っていた。ためしにやらしてもらったらすごく面白い。全然上手くは出来ないけれど。最後に絞り袋でデコレーションしたら完成だ。
ガトーフレーズのコツまとめ
美味しいガトーフレーズを作るには「絶対に量る」「空気を抱かせる」「薄力粉は混ぜる直前にふる」「植物性と動物性を混ぜる」「紙は何でもいい」「100円ショップの道具で十分」「卵は熱を与えて混ぜる」である。
僕の心に響いたのは、「このケーキの原価は400円、お店では3800円」というパティシエの弟が言ったお金についての発言だ。誰でも作れるわけではないので、そういう値段になるのだろう。しかし、上記のコツでそれに近いケーキは作れる。いいことを教えてもらったと思う。