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はっけんの水曜日
 
地引網が大好きだ(2008〜2010年ダイジェスト)

2009年10月11日の地引網

今年も今までと同じ場所で地引網をやろうといつもの漁師さんに電話したところ、残念ながら体調を崩してしまったそうで、もう地引網はやっていないということだった。

あそこであの漁師さん達とやるゆるい感じの地引網が気にいっていたので、それができないのなら中止にしようかなとも思ったが、いつもの場所からちょっと南にいった富浦というところで地引網ができますよという連絡が友人から来た。

富浦といえば、よくボート釣りをしにきた思い出の地。ここでマゴチというかっこいい魚を釣ろうと何年も通ったけれども、いまだ一匹も釣れていない。ならば地引網で獲ってやろうということで、今年も開催決定。


ここの地引網は富浦町漁業協同組合がやっています。
漁師さんの話を真剣に聞く参加者達。

去年が9月にやってクラゲ大漁だったので、今年はもう一ヶ月後ろにずらした10月。今ならもうクラゲもいなくなっていて、さらにはカワハギの肝も育った頃という予測である。

しかしこの時期は台風シーズンでもあり、前日まで海は大荒れ。地引網当日こそ好天に恵まれたものの、海は海底の砂を巻き上げて濁りきっており、遠浅のこの海岸では厳しいコンディションかもしれない。


ここの引き方はロープを持って下がっていくのではなく、ロープだけ後ろに送っていく方式だった。ところ変われば引き方変わる。
こうやって写真を並べると綱引きをしているみたいだけど、同じスピードで引っ張りながら近づいていく団体競技。

今年で五回目になる恒例の地引網だけど、この場所で網を引くのは初めて。何度も釣りをした場所で、どんな魚が獲れるのか。

漁師さんの話だと、やっぱり穏やかな海が続いた後の方が魚は岸に寄ってくるらしいが、きっとまさかの大漁だと信じていますよ。獲れろ、マゴチ!


ここの漁師さんも優しい人ばかりでした。
毎年子供の参加率が高くなっている気がしてうれしい。

台風の後はゴミがいっぱい

今回の網はクラゲが大漁だった去年の網よりも重かった。ここの網の仕様がそうなのか、あるいは大漁だからなのかがわからなかったが、漁師さんの話によるとかなり重い方らしい。荒れた海を避けた魚がこの湾内に集まってきていたのだろうか。

網の中身はなんだろうなと、一緒に引いている人達と妄想談義をしながら力一杯網を引く。網はやっぱり重い。

そういえば友人の弟が結婚式の二次会で地引網をやって、カマスがトン単位で獲れたため、漁師が観光モードから本気モードになってしまい、お祝いムードとはちょっと違った空気になったという話を聞いたことがある。確かそれが台風の後。きっとそういうことだ。

しかし網の重さのほとんどは、台風が運んできた藻屑だった。


海がカフェオレみたいに濁っている。去年までは小石の浜だったけれど、ここは砂だから濁りやすいのかな。
地引網というレクリエーションのはずが、実は海底の大掃除大会とは知らずに、重い網に張り切る参加者達。

これが全部魚だったらよかったのにね。あるいはワカメとかさ。
網の重さで期待が大きかっただけに全員のドンヨリ感がすごい。

まさかのぬかよろこび。でもまあ、ぬかよろこびでもなんでも、よろこびがあったほうがいいような気がする。子供が正直に「なにこれゴミを獲る網なの?」とか聞いてくるけど。

それでもウナギとかモクズガニとか、台風で川が増水して流されてきたからこそと思われる収穫もあったし、なんだかんだで楽しかった。マゴチは来年の課題としよう。

冷静に考えれば、台風の後だからこうなるよなと、去年のクラゲ事件を思い出しながら、近所のスーパーへ不足分の魚を買いに行った。


富浦湾でいままで何匹も釣ったキスだけど、地引網で獲った喜びはまた別。
シタビラメってアウトドア料理でどうすればいいんだろう。やっぱりムニエルかな。

海の藻屑と共に獲れたモクズガニ。たしかこれがモクズガニとの初遭遇だったのかな。
まさかのウナギ三匹。マゴチは縁がないけれど、ウナギはやたらと縁がある。今日一番の歓声があがった。

大きなスズキやうまそうなアジなども網に入ったんだけどね。「Be Together」は 鈴木亜美。
近所のスーパーで「この生さんま、あるだけください!」

炭火で焼いたサンマってうまい

このようにあまり魚は獲れなかったけれど、だからといって怒りだしたりする人もいなかった。魚がなければ肉を食えばいいじゃない。遊びだもの。

無人島での命が掛かった漁とかじゃなくて本当によかったなと思った。


そういえば確か二回目の地引網の時、前日にここでキャンプしたことを思い出した。猛烈に懐かしい。
今年もお寿司屋さん登場。地引網なのに大量の刺身を持ってきているところが、このイベントのリピーターらしくて素敵。よくわかっていらっしゃる。

久しぶりに炭火で焼いたサンマを食べたけれど、やっぱりおいしい。来年は地引網じゃなくてサンマ焼きイベントでもいいかなとちょっと思った。
魚のアラが少なくてダシが薄めだったので、ソーセージを大量投入。

延々と焚火をする人。
海水と太陽での干物作り。

今年もまる。毎年まる。

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