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土曜ワイド工場
 
割り箸を匂いと味で見分ける


林さん曰く「ふざけて買ったものはずーっと家にありますよ」

年始企画で、勢いで買ってしまった割り箸。一口に割り箸と言っても、これだけ木の種類があるのなら、それぞれを匂いと味だけで判定出来るようになればすごいと思いませんか?

ぼくは思う。

西村まさゆき



割り箸の匂いと味で割り箸を判別したい

デイリーポータルの年末イベントでライターのM斉藤さんが「人間温度計」として、口に含んだ液体の温度を言い当てる。という技を披露していた(USTREAM中継の録画はこちら)。

当初、ホントにあたるのか?と半信半疑で見ていたのだけど、結果はほぼ的中させるという快挙を成し遂げた。

ぼくもこういう「おのれの五感を頼りに何かを判定する」という職人的技能を身に付けたい……。でも、そんなに努力はしたくない。 そうだ、割り箸の匂いと味で割り箸の種類を言い当てるってどうだろう。 割り箸の匂いと味を覚えるだけでOKじゃないかこれ。

ということで、覚えた。


いい匂い……
世にも珍しい割り箸をしゃぶる仕事……

 

6種類の選ばれし割り箸たち

ここで、6種類の割り箸の味と匂いをざっと紹介したいと思う。


 

割り箸ナンバー1:新楊
新楊とは、白楊とかアスペンなどと呼ばれるもので、ポプラのことだ。

安価で見た目が白くてきれいなので、巷に流通する割り箸のほとんどはこれらしい。

匂いと味の特徴◆
ちょっとすっぱい感じの匂い。古くなった食用油の匂いに似ている。味もそのまま、古い油の匂いの味。自己主張が強いと言えば強いのだけど、嗅ぎなれているので、「あ、割り箸の匂いだ」と思う。実家に例えるとまさに自分の実家という感じ。見慣れた安心感がそこにはある。


 

割り箸ナンバー2:エゾ松
北海道より北に自生する針葉樹。

色が白くてきれいなので、そこそこ流通しているらしい。色は新楊に似ているけれど、木目がかなりはっきりしている。

匂いと味の特徴◆
製材所の木の匂いがする。よくかぐと製材所の奥の奥からかすかに習字の墨の匂いが漂ってくるけども製材所の木の匂い。味はティッシュペーパーを口に入れたときの味がする。実家に例えると、友達の実家だろうか。子供の頃よく遊びに行った友達の実家。自分の家とは違う匂い、違う家具だけれども親しみはある。


 

割り箸ナンバー3:桧
割り箸としてはやや高級だけど、これも色が白くてきれいなのでよく使われるらしい。

匂いと味の特徴◆
これは枡酒の枡の匂い。酒樽の匂いといってもいい。さわやかないい匂いだ。味もそのままさわやかな匂いの味。実家に例えると、上京してるうちにリフォームした実家だ。建物の建ってる位置は確かに実家なんだけど、新しい、慣れ親しんだ実家とは違う。そんな感じがする。

しかし、ココまで書いてきてちょっと思ったのだけど、割り箸の味って、どれも匂いと同じ味しかしない……この企画の根幹を揺るがしかねない重大な事実かもしれないけれど、気付かなかったことにして進めたい。


 

割り箸ナンバー4:杉
割り箸としては高級な部類に入る杉。色も新楊やエゾ松に比べると茶色く、木目もはっきりしている。

匂いと味の特徴◆
桧と似たさわやかな匂いだけど、こちらのほうが匂いが少し強い。香辛料に似たピリッとした感じがある。実家に例えると、上京してるうちに、別の場所に新築した実家だろうか。まったく見慣れないのだけど、新しくてキレイでいい匂いのする実家。でも思い出はない。


 

割り箸ナンバー5:竹
最近、増えてきている竹の割り箸。

ほかの木の割り箸とは全く違っていて、木目も独特の点点で、全体に縦に筋が入っているので見ただけで判る。

匂いと味の特徴◆
笹餅の匂い。木じゃなくて草の匂いがする。味もそのまま。ほかのどの割り箸とも違う個性的な匂いと味だ。実家に例えたら、大人になってから出来た友達の実家だ。見るものも全てが新鮮に見える。


 

割り箸ナンバー6:ぼだいじゅ
ベトナム産のぼだいじゅからできた割り箸。とにかく安価。木目もなく、色も白いので最近人気があるらしい。

匂いと味の特徴◆
かすかにオガクズか画用紙のような匂いがするものの、ほとんど無味無臭……。これは実家に例えると知らない人の実家だと思う。知らない人の実家なので、よくわからない。それぐらい特長がない……。

 

一回匂っただけでは難しい

さっそく目隠しをして割り箸を匂ったりしゃぶったりしてみる。


必ずこの口になってしまう……

そして出た結果がこれだ。


実際の割り箸 僕の判定 判定の理由 結果
新楊 匂いがきつい。こんなにきついのは新楊に違いない。 ×
新楊 ぼだいじゅ 新楊に似ているけど、匂いが薄いのでたぶんぼだいじゅ。 ×
ぜったい竹。匂いが全然違う。笹っぽい匂いがする。これが外れたら切腹してもいい。しないけど。
エゾ松 難しい……。爽やかな匂いがかすかにするけど……。なんか習字の墨の匂いがするなあ……。杉? ×
ぼだいじゅ んー難しい、じゃっかん爽やかな匂いがするような気がするけど……。桧? ×
エゾ松 ザ・木。といった感じの匂いがするけど……エゾ松かしら? ×

ご覧の通り、惨敗である。 杉にいたっては、覚えるときは「爽やかな匂い」とか誉めそやしたくせに、目隠しをしたとたん「においがきつい!」とは、ぼくがどれだけいい加減なのかということが実によくわかる。もう一度覚えなおしだ。


なかなか手ごわい

濡れてる方が匂う

ところで、ここであることに気づいた。 割り箸はちょっと濡れているほうが匂いがよくわかるということだ。木の匂い成分は水と混ざったほうが揮発しやすいのかもしれない。


水につければいいんだ!
水を吸っていくらか膨らんだかも

さらに、前回はいきなり「匂いがきついから新楊!」などと、先入観で決め付けていたので失敗したのかもしれない。もっと、肩の力を抜いて、自然と一体となって精神を集中させ、匂いを嗅げば必ず道は開けるはず。謙虚になるのだ。


謙虚な様子

そして結果がこれだ。


実際の割り箸 僕の判定 判定の理由 結果
ぼだいじゅ ぼだいじゅ 匂いがあまりしない。たぶん菩提樹。
新楊 新楊 酸化した油の匂いがする。たぶん新楊。
あれ、なんだこれ……。こんな匂いの割り箸あったっけ?他の割り箸と比べてみて相対的にいうと竹?
桧の匂いがします。たぶん桧。
エゾ松 エゾ松 習字の墨の匂いが強くなってる。多分エゾ松。
爽やかだけどちょっと角ばった感じのにおいがする。たぶん杉。

謙虚にしたおかげか、見事に全問正解! 竹に関しては、水につけると匂いが全く変わってしまい、栗の花のような匂いになってしまったため、ほかの割り箸と比べて相対的に出した結論として竹としたのだけど、なかなかのものではないだろうか。

そして特筆すべきはエゾ松。 水につけると、習字の墨のような匂いがよりいっそうはっきりしてきた。 調べてみたら習字の墨の原料には松を使うものもあるそうなので、あながち見当はずれな感想ではなかったのかもしれない。


やり遂げた男の微笑み

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