オシャレの向こう側にあった自由
「フルーツバー」という店名からしてオシャレな最終決戦。結婚していたので妻に紛れて入ることができたが、女性をターゲットとしている店ゆえ、葛藤において苦戦が予想されることは明らかだ。
果物好きの妻のテンションは高めで推移。果肉の色が違うメロンがあったり、柿やミカンといった季節ならではのフルーツの他、スイカまで並んでいたりする。
確かにすごい。個人的にそれほど好んで食べない果物だが、色とりどりのフルーツたちを前にすると、自然に楽しい気持ちになってくる。
まずい、また相手のペースに飲まれてる。これでいいのか。
果物がおいしそうに見えるように皿に盛りつけて撮影。色合いを考えて並び直したり、角度を変えたり。
そして「何やってんだ、俺は」と思う。葛藤をテーマに訪れたオシャレ食べ放題。葛藤とは、相反する二つの感情がせめぎ合うことによって生まれるものであるはずだ ろう。
なのになんだ、この体たらくは。戦うことに疲れたのか。
果物だけではなく、デザート類もフルーツを使ったものが揃っている。イチゴのショートケーキは妻いわく、「中にはさまってるイチゴの量が多い!」とのこと。なるほど、そういう視点で見るわけか。
左下に見えるクッキー系のものは柿サブレ。ちょっとしたものにもフルーツ専門店ならではのアレンジがある。
…と、ここまですっかり打ちのめされたように書いてきたが、実はそういうわけではない。少々フェイクをかけるような形になって恐縮だが、実態はこうだ。
渾身のお肉ドーン。ここは「食らえ!」と念を込めて大きめの写真で載せておきたい。
このフルーツバー、本当のところはラインナップにフルーツ以外のメニューも揃っているのだ。時間帯や季節によって具体的なメニューは変わるようだが、今回はクリスマス前のディナータイムということもあって、鶏肉のローストがご覧の通り豪華に鎮座。
立派な肉とオシャレとの融合。素晴らしいではないか。
他にもパスタやピラフといった主食系もばっちり揃う。ミニステーキやオムレツは、シェフが注文を受けて作ってくれる演出もある。
心の中に訪れる雪解け。オシャレとお肉とは両立できるという実証がここにある。さあ、フルーツをとった皿は一度脇によけ、いつものペースで行こうじゃないか。
実際、鶏肉はフルーツのソースで味付けられていて、まさにお肉と果物とのハーモニー。パイナップルはお肉の消化を助けてくれるというが、これ以上フルーツに頼ることなく、自分の力で消化したい。
向かいの席の妻が撮った写真の中にいたのは、いつもの笑顔の自分。もう葛藤なんてしていない。自由に心の翼を広げて、おいしくお肉を食べる姿がそこにある。
◆参考サイト タカノフルーツバー
※お肉も果物もおいしいよ!
葛藤をテーマに訪れたオシャレ食べ放題。空気を読むのに戸惑いつつも、最終的には一周していつもの自分に戻ることができた。
純粋にデートで使ってそのムードを味わうのもいいし、異次元に身を置くつもりでも面白い。そこを訪れた心に吹くのが順風でも逆風でも、それを楽しもうという姿勢さえあれば、そこはきっと楽しい場所になるんだと思う。