「会議室に呼ばれて、5時間くらいマンツーマンで話されまして。ホワイトボードに図とか書かれて…」
−−5時間!それは辞めないための説得、ですよね?
「だと思います。ホワイトボードに人生の流れみたいなの書かれて、過去の話からさんざん聞いてくるんですよ。それで『中学の時の剣道の試合でレギュラーから落ちたのはいろんなことから逃げてきたからだろ』とか『今回も逃げたらお前はホームレスになるしかない』とか」
−−すごい!
「『その時お前は一生懸命練習したのか!』『それは胸貼っていえるのか!』って言ってきて、『そんなことはないですけど…』って返すと『じゃあ逃げたんだ!』って」
−−男の「逃げる」って言葉に対する敏感さをうまく使ってるな〜。
「もう最初は辞めます辞めます、って感じだったのが4時間くらい経つともう朦朧としてきて…洗脳に近いと思いますね」
−−なんか論法としてあるんですかね?
「この本(『社内失業』)を書くときに知ったんですけど、人を辞めさせる時に過去をさかのぼって『お前はアレもコレもダメだから辞めろ』ってのがあるのを知ったんですよ。その逆バージョンをやられた感じでしたね」
−−5時間の最後はどんな感じで〆だったんですか?
「その日は自分でももう『辞めます』って言ってたのが『考えさせてください』に変わってきちゃってて。それで翌日続きを、ってなりましたね。でもあらためて『こんな追いつめる会社どうなんだ?』って思って、翌日『辞めます!』と」 |