第6煉獄 梨と杉とおばあちゃん
更にどうてい湖に向かって歩く道すがら、妙な林を見つけた。杉とおぼしき若木が等間隔に生えていて、その横に1mくらいの高さで切られた幹が並んでいる。
はて、これはなんだろうと歩いて行くと、そんな木々の根元で80代くらいの老夫婦が休憩していた。話を聞いてみると、この木は梨だという。
え、梨?どう見ても杉だが。え?あの・・・、
と思ったら、杉の横の、切られた方の木が梨なのだという。ああ、そういう事か。おばあちゃんたちが数十年前、はじめてここへ来たときは田んぼだったのだという。そこに梨畑を作って梨農園をやっていたのだそうだ。一宮町は梨の一大産地である。
ところが最近は体力的に梨の世話も難しい。そこで、梨の木は切ってしまったのだそうだ。そうして残った1mの切り株達の横に、杉の枝を挿したところそれが成長し、今の姿になったのだという事だ。
そうして、杉が等間隔に生え、横に切り株がならぶ今の林が出来上がった。そんなの聞いてみないとわからない。ひとしきり話を聞くと、なぜか柿をくれた。皮も剥いてあって、非常に甘くて美味しい柿だった。
秋だねぇ。 |