たぶん「ダムライター」なんて名乗っている人は僕以外にいないから、無知が勝手に名乗って先人の名誉に傷をつけることもない。人前に出たときも「ああ、ダムを専門に取材をしている人なんだな」と思ってもらえるだろう。よし、ダムライターと名乗ろう!
それからしばらくのほほんと生活していて、あるときふと気がついた。
そう言えば、ダムライター名乗ってからダムの文章を書いてない!
思えば昔からこうだった。例えば夏休みの計画表を張り切って初日に書いたら、あとは8月31日まで宿題も絵日記も存在自体を忘れてしまっていた。あのころから何も変わっていない。
というわけで、今回はダムライターの面目を躍如するため、楽しいダム旅行をマジメに書きます!
都心から1時間のお手軽ダム見物
公共交通機関でダムに行くとは言っても、いきなりローカル線やバスを乗り継いで山奥に向かうのは不安だろう。そこで、まずは軽い足慣らしに新宿から1時間でたどり着くダムを紹介したい。
最寄り駅はその名も西武多摩湖線の終点、西武遊園地駅。このあたりの西武線は複雑に入り組んでいて、通勤路線である池袋線や新宿線とは明らかに雰囲気の違う、短い編成の電車がのんびり走る。のんびりというのはイメージで実際は路線の規格にあったダイヤだろうけど。
終点の西武遊園地駅が近づくと、進行方向左手に狭山公園の森が見えてくる。ちなみにこのあたりは映画「となりのトトロ」のモデルになった地域らしく、今でも住宅地の中に森が点在している。そして、狭山公園の森の向こうに、時折てっぺんが一直線の堤防のようなシルエットが姿を現す。これが目指している村山下ダムで、通称多摩湖。いま乗っている西武多摩湖線は、大正末期に完成したこの多摩湖に向かう観光客目当てに引かれた路線らしい、というのはこの記事で知った。つまり、トトロの時代にも多摩湖や多摩湖線は存在していたのだ! |