二種類目はサイドを短くしてみる
せっかく整えてもらった髪型なのだが、写真を撮るとすぐにまたハサミが入れられて、新しい髪型へと変えていく。
今夜の夢にはもったいないオバケがでるな。
そしてできあがった二種類目。見たことのないタイプの自分が鏡に映る。
工藤さん曰く、「売れてきてスタイリストがついたお笑い芸人みたい」だそうだ。なるほど確かに。するとさっきの髪型は放送作家か。って別にお笑い関係で例えを縛らなくてもいいんだけれど。
ところで店長と工藤さんと私の三人には、「クサガメを飼っている」という驚きの共通点があった。
その話でちょっと盛り上がったけれど、これって奇跡の無駄遣いだなと思った。
最初のアンケートで「話は苦手」に丸をつけておいて、結構いろいろな話した。ここの店長は職歴がプロボクサー、調理師、美容師と謎だらけで、この店をオープンする前は夫婦共にカナダで美容師をやっていたため、開店時に顧客ゼロで大変だったそうだ。
自分の話をするのは苦手だけれど、こういう人の話を聞くのは好きだ。
三種類目はさらに若作りに
さっきの髪型はシャンプーと一緒に水に流して(物理的に)、さらにカットは進んでいく。
はたから見ると店長と私の関係は、気にいったものしか残さない陶芸家と失敗した陶器のような関係だが、どの髪型も別に失敗ではないので、すぐにまた切ってしまうのが本当にもったいない。この髪型を保存しておいて、またすぐ呼び出せるようにできたらいいのに。
あ、そのためのヘアカタログを作っていたんだったっけ。
はい、三つ目の髪型が完成。今度はさらに若づくりになったけれど、短くなったことで染めていない白髪部分が目立ちだしてきてしまった。
ところで髪を洗ってもらってもらいながら聞いた話なのだが、美容室に来る人はちょっと服装とかメイクにオシャレをしてくるものらしい。ひとつのイベントなのだ。
髪の毛ってどうせすぐ伸びるので、車のオイルを変えるとか、服をクリーニングに出すとかと同列に考えていたので、ヘーって思った。
もちろんそうじゃない人もいるだろうけれど、私が感じていた敷居の高さはそこらへんにあるのかと腑に落ちた。でも確かに髪を切るのって楽しいなと思い始めてきている自分がいる。