ギプスの現実

ギプス包帯を使うことによって、子供の頃から憧れていたギプスを自作することに成功。なかなかよいできではあるんですが、ただ装着しただけじゃまだまだ満足できません。

やっぱり「大丈夫ですか？」的なかわいそう目線にさらされてこそのギプスってもんでしょう。

……ということで、ギプスをしたままで外を歩き回ってみることに。この「ギプスしているか上着がちゃんと着れません」感もグッときます。

しかし、自分的には「ああっ、ギプスなんてしちゃってかわいそう」……みたいな雰囲気をビンビンに放ちながら歩き回ってみたものの、みんな完全に無反応。

でもそりゃそうか、ボクも街でギプスしている人にすれ違っても「大丈夫ですか？」なんて声かけないもんな。そもそも、目の前で腕がポッキリ変な方向に曲がっちゃってたらホントに「大丈夫ですか？」だけど、ギプスしている段階ですでに治療済みだからそんなに心配する必要ないですからね……。

こりゃダメだ、こんな人の心も渇ききったコンクリートジャングル・東京じゃ他人がギプスのひとつやふたつしてたくらいで誰も心配してくれないよ……。

というワケで、ギプスをこれみよがしにみせびらかすべく、知り合いが集まっている飲み会の席にいくことに。

さすがに知り合いがいっぱいいる場所だと「どうしたの!?　どうしたの!?」とみんな心配してくれて、ボクの「かわいそうだと思われたい」欲もぐんぐん満たされていきました。

しかし「どうしたの!?」と心配してくれている人に対して「いやー、骨折っちゃってさぁ」といっちゃえるほど神経がず太くないんで「いや、ただつけてるだけ。なんもケガしてないから」と答えたところ、それまで心配してくれていた人たちが完全に冷たい目に。

ま、そりゃあね……「飲み会になんかめんどくさい人きちゃった」ということでしかないですからね。

あともうひとつ、ギプスをつけたらやってみたかったことは、お見舞いにきてくれた友達がギプスに応援メッセージを書いてくれるっていうアレ。

その場にいたみんなに「なんか書いて！　書いて！」と頼んでみたんですが、一回下がったテンションを取り戻すことができず、誰も書いてくれませんでした……仕方ないので、

もっとこう、みているだけで胸があたたかくなるような……勇気づけられるようなハートフルな何かを求めていたんですが、自作自演のメッセージみてもむなしいだけですね。

さらに追い打ちをかけるように、しばらくギプスをしているとやってくるといわれているあのモーレツなかゆいかゆいが！　こ、コレはつらい。

やっぱり、思ってたほどいいモンじゃないな、ギプス。もうだいぶ飽きちゃったし外そうかな……。

確かに、ギプスを装着することに夢中で、どうやって外すかなんてまったく考えていませんでしたよ。どうしよう……。

病院ではこんな電動のこぎり的なアイテムを使ってギプスを切断して取り外しているらしいんですが……こんなの素人が面白半分で使ったら腕ごと切り落としちゃいそうだし……。

そうなったらもはやギプスどころの騒ぎじゃないですよ、ホントに。

カッターで少しづつ切っていく……というのも試してみたものの、思いの外カッチカチに固まっているため、カッターくらいじゃ全然切れないです。さすがギプス！　ヘタに力を入れすぎたらグイッと刃が貫通して血がブシュー！　みたいなことになりかねませんし。

ど、どうしよう、こりゃホントに外せないよ。この状態で病院に駆け込んで「ギプス外して！」っていうのはいくらなんでも頭悪すぎますよ。

……そんなことを思い絶望的な気分になっていたのですが、ギプス包帯の端がほつれていて、そこからムリヤリ引っぺがしていけば外れそうな気が。

おおっ、巻いたときと逆に引っ張っていけば、ちょっとづつですがはがれていきそうです。

かなり難航しましたが、なんとかボクの腕と再会！

本来だったら、ギプス包帯がはがれないように端をキレイに処理しておくものらしいのですが、もしそれをやってたら絶対に自力では外せなかったと思います。よかった！　ホントーによかった！

やっぱり、プロフェッショナル向けの商品を素人が面白半分に扱っちゃいけませんね。