脱・肉だんご宣言
徐々に難航してきた値段順ちゃんぽん探し。普通の中華料理店ではここから下のものを見つけるのは難しいようだ。そこで調べてみたのが、施設内食堂系のちゃんぽんだ。
やってきたのは「おふくろ食堂ごはんですよ」。JR長崎駅のお隣、浦上駅近くの「長崎原爆病院」にある食堂だ。
病院の食堂には特にこれと言った名前がつけられていないことも多いと思うが、この店には「おふくろ食堂ごはんですよ」と、ほっとするような、食欲をそそるような名前がつけられている。店内の様子にもそういう雰囲気が読み取れる。
ともすれば無機的な感じが漂う場合もある病院の食堂だが、この店にはなんだか親しみやすい雰囲気がある。テーブルの上のお願い板 に「おふくろより」と添えてあるのもユーモアだろうか。
こうしたロケーションと雰囲気ならば、ちゃんぽんもきっと相場より安いはず。メニューを見てみよう。
ちゃんぽんは520円との表示。これまで紹介した最安値を更新だ。それはいいのだが、ちゃんぽんの下にあるのが気になる。「長崎サラダ」ってなんだろう。
ローカルフードは数あれど、「地名+サラダ」というのはあまり聞いたことがない。こちらもぜひ実体を確認しよう。
レタスやトマトがふんだんに使われたサラダ。一番上に乗っているのは刻まれたシソと錦糸卵。そのあたりの構成もまあ珍しいだろうか。おにぎりもセットになってついてきた。
どこが長崎なのか。それは中央下部にあるオレンジ色のもじゃもじゃだ。
長崎名物、皿うどんの麺だ。あのパリパリした細い揚げ麺である。そこにあんかけではなく、ドレッシングで和えられたモヤシやエビ を乗せて、さらにレタスやトマトで囲んだというメニューなのだ。
新鮮な組み合わせ。とは言え、この食堂では10年以上前から出しているらしい。歴史があるだけあって、半信半疑で食べてみても結構おいしい。あんかけの皿うどんと違って、麺のパリパリ感を長時間楽しめる。
不思議に納得しているうちに、一緒に頼んだちゃんぽんがやってきた。
価格が安いからと言って、決して貧相ということもなく、しっかりちゃんぽん然としたちゃんぽん。野菜だけでなく、肉やイカといった具も使われている。
しかし、これといった特徴があるわけでないというのが見た目の率直な感想。だが個性のないちゃんぽんではないことは、食べてわかった。
ものすごく熱いのだ。一口食べて、思わず「あちっ!」と周囲に聞こえるような声で言ってしまったくらいの熱さ。「いつまでも肉だんごがないことにくよくよするな!」と叱られたような衝撃だ。
今回結構な数のちゃんぽんを食べたわけだが、その中でもここは飛び抜けた熱さ。麺料理において、熱さというのはおいしさの重要な要素。廉価ちゃんぽんでもそういう部分は訴求できるのだ。
さて、520円まで下がってきたちゃんぽん価格。もう一段階下に突き抜けたいところだ。