急に涼しくなった日、ふと思った。 東京に住んでいると、あんまりススキに出会わないなあ、と。 そもそも、ある程度の広さがないと、あんなでっかい草は育たない。でも河原じゃなくても、私の地元の埼玉では、空き地にワサッと生えていた。 ひとり、無意味に草むらに突進して、ジャングル体験気分を味わっていた。 今思い返せば、ススキをひっこぬいて興奮するなんて、安い子供であった。でも貴重な体験だったのかもしれない。 だって、都心に住んでる限り、草と濃密に触れ合う機会なんて、全然ナイんですもの。
(大塚 幸代)
ススキってどこに生えてるんだろう
ススキ…って、山手線圏内にあったりするの…かな? と悩みながら、電車に乗った。
電車の線路ぞい、線路わきは雑草の穴場だから、生えてるんじゃないのかな? と、予測したのだ。
ひまわりが生えているのは見えた。ほか、背の高い雑草やツタ類も、結構あった。 でも、こう、かたまって生えている「ススキ」は発見出来なかった。 環境の問題か、防犯上の問題で刈り込まれてしまうのか、分からないけども。 全然見つからない。
ススキなんだから、ひょっとして日本庭園にあるんじゃないのか? と思いついて、浜松町駅で降りて、旧芝離宮恩賜公園に行ってみた。 存在は知ってたけど、中に入るのは初めてだ。入園料は150円。
探しても、探しても、ソレっぽいものが、全然見つからない。 結構広い園内を、一周してから、窓口のおじさまに、訊ねた。 「あのう、ここって、ススキはないんですか?」 「ススキ?」 おじさまの顔のオデコに、ほんの少し、シワが寄った。 「ススキ(なんか)、ないですよ」
「ですよね〜」と思いながら、ガックリうなだれた。 んー、でも、ススキって、まあ雑草だけど、古典の和歌とかに出てきますよね? 枕草子レベルの作品に出て来る、超有名な、イケてる植物ですよね? 日本庭園ではナシですか? あれー? と思いながら、駅に戻ってきたのだが。
駅の、空き地というかデッドスペースに、なんと、10本くらい、ススキが生えているじゃないですか!! 頑張れ! そんな君たちの健気な育ちっぷりがステキよ、と思いながら、鉄格子越しにながめた。
きっと、山手線圏内の駅近くでも、こんな「スキあらば生えてるススキ」は、多数あるんだと思う。
見つけた場合は「マイススキ」として、成長を見守ると楽しいと思う…。 (後日発見したのだが、新宿駅にも、生えていた…)。