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ひらめきの月曜日
 
コウモリが見たい

人の手柄で記事を書く

二日目。同じ場所で見つかる気はしなかったので、場所を変えた。埼玉県のJR鴻巣駅の近辺。以前、編集部の工藤さんがこのあたりに別の取材に来ていて、コウモリのすみかを発見したそうなのだ。今日はそこを見に行ってみることにした。

昨日より早い時間、日没前に到着したのだが、駅を出てまず驚いた。


すごい数の飛行生物

ムクドリだった。木の中が鳥で埋め尽くされている。


おとしもの

空を無数に飛び交っていたが、コウモリか!?とぬか喜びさせられることはなかった。鳴き声がすごかったからだ。ピヨピヨ、どころじゃなくピピピピピピピピピヨヨヨヨヨヨヨヨヨ、みたいな。細かすぎて電子音みたいになっていた。

そんなピピピピピピピピピヨヨヨヨヨヨヨヨヨ、に混じって、学校帰りの男子中学生の「バナナオレ買えよ」「買わねえよ」「絶対うまいって」みたいな会話が聞こえてくる、そんな埼玉の風景。


そういや中学生ってバナナオレとか飲むよな、と思いながら件の場所への道を歩く

この橋だ


目的地は徒歩5分ほどの場所にあった。

 

橋は夜

橋の裏側は昼でも暗くて、たしかにコウモリが潜んでいそうな場所だった。


だってこれだもん

絶対いることを確信した


上の右の写真の場所、目を凝らしてよくみると、橋と橋脚の間に、明らかになにかある。というか、いる。

俄然、興奮してきた。早くもコウモリの居場所を突き止めたのだ(見つけたのは工藤さんだが)。しかしこの距離、そして暗さで、どうやって確認したらいいだろうか。ご心配なく。今日は、昨日暗くて木の中が見えなかった教訓を生かし、懐中電灯を持参したのだ。


懐中電灯で照らす

あれ


なんか、予想と違う。

ぶら下がってない。

コウモリって、実は休んでるときは地面に立っているのだろうか。それとも、何か得体の知れない、別の生物…。

フラッシュとズームで写真を撮ってみる。


ハト!

撮った時点では正体がわからなくてどきどきしていたのだが、この直後、すごい羽音を響かせながら4羽が同時に飛び立って、心臓が止まるかと思った。ハトだ、とわかったのは飛ぶ姿を見てからである。

確かに、公園にあれだけいるハトも夕方くらいになるとどこかへ消えてしまう。夜になるとハトはどこに行くのだろう。実はこんなところにいたのだ。


一部屋に一羽、ハトの団地みたいになっていた

 

スカイフィッシュの巣

ここへ来ればすぐにコウモリが見つかるかと思っていたのだが、ハトによる占拠という予想外の展開。夕暮れの空の下、途方にくれた。


三脚を伸ばすのが面倒でローアングルから撮ったら青春っぽい写真になってしまった

あれが全部コウモリだったりしないかなあ


あたりもだいぶ暗くなってきて、さっきまではその辺をたくさん歩いていた中学生も、いつの間にか姿を消した。

そしてだいたい6時前後くらいだろうか、急に空を黒いものが飛び交い始めた。


でた!

撮影技術の関係でスカイフィッシュになってしまったが、そうではなくてコウモリである。橋のほうからこっちに向かって続々と飛び出してくる。

また一匹

どうもこの隙間にいるらしい


工藤さんの言ったとおりだ。正真正銘、この橋がコウモリのすみかになっているっぽい。

ついにコウモリの巣をつきとめたぞ!(工藤さんが)

が、しかし、更なる問題が立ちはだかる。


橋が高い

そう、高さ的にちょっと背が届く位置ではないのだ。

橋の上から見てみようとしても


歩道がない

反対側にしか歩道がなく、車がブンブン行きかっているので、あそこまで行って写真を撮るのは無理そうだ。

三脚持ってカメラだけ向けてみるというのも考えたが


まったく届かず

というわけで、結局この日も、ぶら下がってるコウモリをこの目で見るのはあきらめることとなった…。


ちなみに他にも巣がないかその後も結構探したのだが

見つかったのはハトばかりであった


日が沈んですっかり暗くなると、またコウモリの姿は見えなくなった。あれだけ飛んでいたのに、だいたい30分くらいでいなくなってしまう。どこかへ移動してしまうのだろうか。

駅への道中は、部活帰りと思われる高校生とたくさんすれ違った。埼玉では、中学生→コウモリ→高校生といったぐあいで、時間帯ごとにうまくすみわけが出来ているなあと思った。

 

 

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