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はっけんの水曜日
 
ナイフとフォークで食べる


たこ焼き

外食といえば「ナイフとフォーク」である。
現代日本の食料事情は様々だから、いちがいにそうだとはいえないに違いないが、でも、外食といえば「ナイフとフォーク」だ。
僕にとってはそうだ。
たとえば地図にナイフとフォークのイラストがあれば、「レストラン」のことだと思うだろう。
そんな「外食」のイメージとしてのナイフとフォーク。
なんでもナイフとフォークを使って食べれば、外食気分が味わえるのではないだろうか。

工藤 考浩




外食=特別 の思い込み

ナイフとフォークで食べると「外食」みたいでうれしい。
このことを思いついたときに、ほんのりとした寂しさも味わった。
そうか、おれ、いまだに「外食=ハッピー」という図式の中で生きているのか。
僕の世代としては特別貧しくも裕福でもなく、まあまあ平均的な子供時代を送ったつもりだが、そういう暮らしの中で外食は特別な行事だったのだ。
でも、37歳独身である今は、日々のほとんどが外食である。
むしろ家でご飯を食べるという時間は相当に価値あるハッピーなはずだ。
それがいまだに「ナイフとフォーク」にあこがれている。
幼少期の感情というのはすごいなあ。


ナイフとフォークでハッピー

ナイフとフォークでいなり寿司

というしんみりした感情は置いておき、ナイフとフォークでご飯を食べると外食気分で楽しい、という大前提のもとに企画を進めてゆこう。
まずはいなり寿司をナイフとフォークで食べてみる。



では、いなります

当サイトでもほんのちょっと触れたことがあるが、僕はいなり寿司が好物だ。
なんで好きなのかを考えてみたが、やはりこれは家で食べるごちそうの最高峰だからではないだろうか。
それをナイフとフォークを使って食べることに、大きなゆがみを感じなくもないが、そのゆがみを具体的に説明できない。なんだこのゆがみは。


いなりを切るというのはこういう感触か
一口大に食べやすく切った

とても食べやすいのだが

いなり寿司にナイフを入れるのは初めての経験で、お米の中にナイフが入っていく感触をしっかり味わった。
見た目的にはクリームコロッケかなんかを切っているようだが、あれよりももっと粘りけを感じる。
そしてフォークで刺して口に運ぶわけだが、これがとても食べやすい。
ふつう箸で食べる場合は、いなり寿司は丸のみしないわけで、まあしてもいいのだが、歯でかみ切る作業が必要だが、あらかじめひとくちサイズに切ってあると食べやすい。
なにやらものすごく当たり前のことを書いている気がするが、じっさいにそうなのだ。

ただ、いなり寿司を食べるときに感じる幸せのひとつである「ほおばる感」が乏しい。
それをお行儀のよさという視点で捉えると、外食感は高い。


食べやすいが幸せはほとばしらない

のり弁をナイフとフォークで

次にいただくのはのり弁だ。
夜遅く暗い家にひとり帰って食べるのり弁は、ハッピーとはほど遠いところにある。

…という風に書くとやけにもの悲しいが、僕はのり弁はとっても旨いのでもぐもぐとよろこんで食べてる。


高級なのり弁ですね

わけます

さて、これをナイフとフォークで食べようとすると、切ったり刺したりにご飯がじゃまなので、べつのお皿に盛ることにした。
そしたらなぜかパーティーっぽくなった。
これからみんな、のり弁は別皿に盛って食うといいぞ。


ひとりパーティオードブル

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