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土曜ワイド工場
 
まちなか「同い年」探し

同い年のでかい像がある

東京の御茶ノ水にある湯島聖堂。ここには35年前に立てられた孔子の像があるのだという。しかもこの像、孔子の像としては世界一でかいらしい。


周囲の喧騒を飲み込むかのような静かな佇まい

自分が生まれた年に建てられた世界一でかい孔子像。

どのポイントで喜んだらいいのかいまいち掴みづらいが、とりあえず見に行ってみた。


こちらは孔子を奉った廟
その脇に建つ像がそれ

孔子というと紀元前の中国で活躍した人だが、その教えは海を越えた日本でも脈々と受け継がれ、2500年ほど経った後、でかい像が建てられたわけだ。

その像がなんと同い年。

孔子というと偉大すぎてまったく共感を得るとかおそれおおいわけだが、そのでかい石像が同級生と聞くとなんだかちょっとうれしい。2500年前の聖人よりも35年前の石の方が現実味がある。


でも見に行ったらすごいでかくて

とてもじゃないけど同級生、って言える感じじゃなかったよ

同い年の孔子の像は肌に艶があり、まだまだ現役でその威厳を保っていた。たぶんあと100年経っても同じ顔で僕らの子孫を見下ろしていることだろう。石にとっての35年なんて、朝起きて顔洗った、くらいの出来事なのかもしれない。

おしゃれな建物も同い年

建物でいえばこちらも35年前に建てられている。南青山にあるフロム・ファーストビルだ。

きらびやかなテナントが入っていて、もちろん今でも現役で活躍している。


同い年とは思えないおしゃれさん
入っている店舗がほぼ全て英語表記だった

南青山というと、ガラスでできたすけすけのビルがあったりするすごくおしゃれな街なのだが、この35歳のビルはそんな環境にもまったく負けない存在感を保って建っていた。


外に配置された階段とか
三角のテラスもかっこいい

近くで見るとところどころに錆が浮かんでいたり、レンガにひびが入っていたりするが、全体を見るとおよそ35年経っているとは思えない若々しさだ。

建築の専門的なことはよくわからないが、入り組んだ直線が空間を複雑に作り上げているこのビル、当時としてはかなり革新的な作りだったんじゃないかと思う。


敷地内にあった木も同い年なのかもしれない
一応触っておきました

フロム・ファーストビルは同級生の中では生徒会長クラスの存在感。35年経っても道を踏み外さずに市議会議員とかやっていそうなタイプだ。

同級生勢揃い

せっかくなのでこれまでに集めた同い年の物たちで同窓会っぽい写真を作ってみた。撮影場所はフロム・ファーストビルだ。


わからなさ全開

35年は長いのか

35年という月日はいったい長いのだろうか、短いのだろうか。

建物なんかを見ると35年というのは短いように思う。でもレコードジャケットを飾る当時のスターたちを見ると、35年はやはり長いなとも感じる。

まあ一人の赤ちゃんが立派な中年に成長するのだ。短いわけはない。同じように時を重ねた建物やカメラなんかにも、やはり年相応の歴史を感じた。そしてみんなこれからに向けて黙々と年を重ねていた。

50歳くらいになったらまた同い年の物たちを見に行きたいと思う。その時に僕が一番老けていないようがんばりたいです。

中上健次「岬」。これも同い年の作品。当時の小説を読むと、やはり35年ははるか昔の話のように思えます。

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