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ちしきの金曜日
 
川から愛でる高速道路の裏側

名付けて「東京静脈」

今回のクルーズは下のようなコースでまわった。いわゆる「神田アイランド」をぐるりと一周したのだ。


はやる気持ちを抑えつつ船に乗り込む一同。参加募集したらあっというまに定員に達した。なんだー、みんな高架好きなのかー!

越中島近くの桟橋から出発し、八丁堀のほう、亀島川から日本橋川に入り、水道橋の手前で神田川に入り…という時計回りのコース。充実したクルーズ。ちょう楽しかった。この軌跡はGPSロガーで記録したもの。より大きな地図で表示

せっかくのかっこいい高架裏クルーズなので、動画でもご覧いただこう。

隅田川から亀島川にはいったところから、神田橋の先あたりまでの早回し映像。360度動画です。やっぱり江戸橋あたりがかっこいい!

やっぱりどうしたってあまりにもかっこいいので、江戸橋ジャンクションの下部分はじっくりご覧いただこう。

野田さん。上の動画冒頭で「ほんとは大山さんが…」とぼやいている。すみません。ジャンクションにむちゅうでした。

さて、今回のこのクルーズは、とある記念イベントの一環として催されたものだった。そのイベントとは「東京静脈」というDVDの発売イベントだ。

この「東京静脈」は、この日本橋川、神田川を同じように船で行く映像がおさめられていて、野田真外さんの手によるもの。もともとは「六本木ヒルズ」のオープニングイベント「世界都市展」で上映されていた。ぼくがさいしょにこの映像を見たのもこの展覧会でだった。川から見ると東京はこんなふうに見えるのか!と衝撃を受けたものだ。

展覧会後も野田さんはこつこつと手売りを続けてきたが、このたびめでたくAmazonで取り扱うようになった。めでたい。これでみんな気軽に東京静脈映像を楽しむことができる!めでたいので船でも出すか!という経緯だ。


「東京静脈」のダイジェスト。3面に3台で撮った映像がつなげられて流されていた。

山崎さん。クルーズ中くわしい解説をしてくださいました。これがまた楽しい話なのよ!

船の手配やガイドなどは、BOAT PEOPLE Association の山崎さんに手伝ってもらった。これまでDPZで「サイテーの橋」とか「くぐれ!たいやきくん」などの川にまつわる記事を書いてきたが、これらのクルーズはいずれもこの BOAT PEOPLE Association 主催のものだ。いわばぼくらの都市河川ご指南役。いつもありがとうございます。


で、この「東京静脈」というネーミング。これがすばらしい!野田さんいわく「かつては物流の中心だったこれら河川も、トラックなど陸上交通の台頭によって存在感が薄くなってしまった。だけど、全く使っていないのかというとそんなことはなくて、いまでも砂利や残土、ゴミなどをバージ船に積んで運んぶのに皮が使われている。で、それっていわば『静脈』の役割だよな、と思ってそう名付けた」とのこと。なるほどー。


今回もとちゅうでゴミを運ぶバージ船に出会いました。まさに静脈! で、バージ船相手にむちゅうのひとたち。

 

書を捨て川に出よ

野田さんや山崎さんと知り合って都市河川をクルーズするようになるまで、川のイメージといえば急流下りや隅田川の遊覧船ぐらいしかなかった。しかし、こういう「静か」な河川もあるのだ。その静けさも「静脈」の名にふさわしい。


ここ、かなりかっこいい。神田橋ジャンクションの手前、神田川がJRと交差するところ。新幹線と在来線といろんな種類と年代の橋が並んでいてどれも形式が異なる。

都会のど真ん中を流れているのに、ほとんどふだん意識されない川。建物はすべて背を向けて建ち、すごく「裏手」の雰囲気。そして、上を「動脈」である首都高が走る。こういう静けさって、とてもすてき。ぼくら以外に船の姿はない。東京のど真ん中を独り占めにした感じ。いいねえ。


くぐって振り返ったところ。大きさの異なるアーチが並んでいる。ほんとここ、かなりいい!すてき!

そう、だれもいないのだ。

ぼくにはどうにも解せないのだが、この「川の上の首都高高架」というのはきわめて評判が悪い。特に日本橋上の首都高の悪役っぷりといったらない。地中化しちゃえなんて話もある。こんなにかっこいいのに。どうかしてる。


にょろりとセクシーな脚線美を見せつける首都高高架の向こうに見えてきたのが、その日本橋。

思うに、みんな川から見上げる経験をしてないからそういうこと言うんだと思う。だって目の前にするとちょうかっこいいもの!なじみのないものが好きになれないのは当然だとおもう。なんだっけ、心理学でいうところの単純接触効果ってやつ。頻繁に接している相手にはそうでない相手より好意を持ちやすい、というあれ。


かっこいい!日本橋って上に高架がいるからすてきなんだと思うけど!

ほんと、もっとみんな日本橋川をクルーズしてみるべきだよ。

書を捨て川に出よ。話はそれからだ。


船上は一時騒然となった。

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