印刷媒体やウェブなどで使う、素材集という商品がある。直接素材集を見たことがない人でも、そうと気付かぬうちに素材集の画像を見ているのではないか。
自然や風景など、さまざまなテーマの素材集があるが、中でも気になるのは人物系。いかにもありそうなシーンを切り取ったそれらの写真には、どうも独特の雰囲気がある。
なんとも言えないその感じ。あの雰囲気を再現してみたい。
どうやって?それは自分でやるしかないだろう。心強い仲間も力を貸してくれた。そういうわけで、やってみました。
(小野法師丸)
どうせ登るなら高い山の方がいい
素材集の販売形態にはいくつかあるが、一般的なのは画像を収録したCD-ROMの販売というスタイルだろう。今回は素材集のCDを一枚買って、それを真似てみることにしよう。
いろいろなテーマの商品がある中、選んでみたのはこれだ。
「素材辞典」というシリーズの、「ティーンズライフ-友達と笑顔」編だ。
このシリーズには他にもビジネス系や一般的な日常生活系もあったのだが、30代も後半に差し掛かった筆者としては、あえての このチョイス。そこにある山が険しいほど、挑戦しがいがあるというものだ。
ほんとに険しいリアル山は見ないふりしてスルーだが、メンタルな意味での山なら超えてみたくなる。
そう思ってサムネイルの冊子を開いたのだが、キラキラ感が半端ではない。昔、私にもティーンズライフがそれなりにあったはずだが、ここにあるのとはずいぶん違う気がする。
こんな青春の1ページは自分にはなかったと卑屈になっても仕方がない。青春とは特定の年代にあることを言うのではなく、心の在り方なのだ。思い出を作るのに遅すぎるということはない。
しかし、思い出作りにはパートナーがぜひほしい。お願いしたのはこの人だ。
当サイトのライター、岩手在住の櫻田さんだ。上の写真からもわかる通り、フォトジェニック度と肝っ玉の大きさには 並々ならぬものがある。「ぜひ一緒に思い出作りを」とお願いしたところ、快諾をいただいた。
撮影に適した待ち合わせ場所として、櫻田さんが指定したのは「馬っこパーク・いわて」。親しみやすい名前と、これからやろうとしていることとのコントラストが高くてしびれる。
普通の人は乗馬体験をしたり、小動物とふれあったりするこの施設。小動物に感化されて、自分たちもかわいさをにじみ出せるようになんとかもっていきたいところだ。
特に服装をこちらから指定したわけではないが、「できるだけさわやかな格好で来ました」との櫻田さん。私も同じことを思って服をチョイス。結果的に、櫻田さんが羽織っているシャツを脱いだら危うくペアルックになるところだった。それはやばい。
30代後半の筆者はもう「おっさん」と呼ばれる覚悟がしっかりとできているのだが、30代前半の櫻田さんはまだ青年とおっさんの端境期にいるところか。本人におっさん呼ばわりする許可を取り忘れたのだが、ここは四捨五入でおっさんということにしてしまおう。
合流してまず、素材集のサムネイルを見ながらどんな写真を撮るか打ち合わせ。上の写真に漂う 爽やかさのようなものはフェイクなので騙されないでいただきたい。
まずトライすることにしたのはこれ。
最もシンプルなタイプを選んでみた。野球で言えば直球勝負というところだろう。実際に撮影してみたのがこれだ。
やってみてわかった。直球勝負なんかするんじゃなかった。シンプルゆえに、どうにかしてごまかす逃げ場がない。新鮮な魚は刺身にするのが最もおいしいはずだが、そうでもない魚はがっちり調理しないと腹をこわすのだ。
それでも櫻田さんのはなんとなく元写真の雰囲気が出ている。自分の方は撮影時にはこんなもんだろうと思っていたのだが、構図も違うし、なにより顔がでかい。
遠近法を巧みに使わないと大変なことになる。一歩リードされたところで、次の写真をまねてみよう。