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ひらめきの月曜日
 
サウナの魅力を伝えたい

やっぱり無理なのかも知れない

熱々の体を水風呂で冷やす。やっぱり気持ちいい。先ほど方法は伝えたので斉藤さんの自主性に任せる。

というか、僕自身水風呂が気持ちよすぎて斉藤さんに気を遣ってる場合じゃなかった。口は半開き、目は白目を剥いていたと思う。ヤバそうに見えるだろうが凄く気持ち良い。


何も言わずにふらふらと。

あ、斉藤さんがふらーっと水風呂から出た。あわせて僕も出る。もっと入ってたかったぜ。斉藤さんはやっぱりあんまり楽しくないのかな。一般的な楽しみでは無いんだろうか。

 

斎藤さんの様子がおかしい。


---斉藤さん---

先ほどは怖かったが意を決して入ってみるとたしかに言っていることは一理あるというか、ちょっと意識が遠くなってゆく感覚は面白いと思った。
でも、これ絶対心臓に悪いよな。斎藤家は代々、心臓が弱いので不安になる。


再度サウナに入って座る。すると斉藤さんが「ちょっと出て良いですか」といってスタスタとサウナを出て行った。斉藤さん、斉藤さん、と呼びかけるも振り返らず脱衣所まで歩いていく。

気持ち悪くなっちゃったのかな、心配しながらついていく。


---斉藤さん---

水風呂からサウナに戻ろうとしたら、なぜか足がガクガクしてきた。やばい。脱衣所で休憩しよう。


心配ながらも面白い見た目。

脱衣所で座った斉藤さんに話しかけても上の空。体調が悪いのか。顔真っ赤だけど凄い笑顔で目がトローンとして気持ちよさそう。

なんだこの人。大丈夫ですかと聞きながらも笑いがこらえられない。

---斉藤さん---

子供の頃、インフルエンザの高熱で逆に気持が良くなっているような奇妙な感覚だ。鏡に映る自分を見たら、満面の笑みを浮かべていた。「斎藤さん、大丈夫ですか?!」尾張さんが言う。「大丈夫ですよー」と答えるが、やっぱりにやついている。大丈夫じゃないかもしれない。でも気持いい。地獄とは自分から進んで落ちるところなのだ。

 

斉藤さん、ついに覚醒

顔が真っ赤なだらしない笑顔の人にしばらく話しかけるが変化が無い。
本当に救急車とか呼んだほうが良いんだろうか。この状態で人前に出して良いんだろうか。そんなことを考え始めた時、状況が変わった。


僕が見た中で斉藤さんの目が一番開いた瞬間だった。

---斉藤さん---

3分くらいヘラヘラと休んでいたら、急にパっと頭が冴えてきた。
視界が冴える。音がよく聴こえる。目がカっと見開いたのが自分でもよくわかった。

へーこれが尾張さんの言っていたサウナの魅力か。
交感神経が強制的に働かされているようだ。面白いけれど、あぶなっかしい。


トローンとした目がグワッと開き、急にきびきびと動き出した。えっ、なになに?どうしたの!?再度サウナに入り話を聞くとなんだか頭がポーっとして気持ちよかったとの事。

そしてサウナの魅力は水風呂後の休憩だ!と言い出した。ぽーっとした意識がハッキリする様はまるで初めてメガネをかけた時の感覚だ!と言っていたが、その表現聞いたの3回目。(斉藤さんが初めてメガネをかけた感覚になった体験→これとかこれ)。

 

斉藤さん、サウナを楽しむ

サウナを出てもう一度水風呂へ。もうためらいなく浸かる斉藤さん。そして出るや否や洗面台の椅子に座る。その顔は先ほどと同じ、目がトローリとした満面の笑み。

僕も隣に座ってボーっとする。すると強い心臓の鼓動を感じる。ドクン…ドクン…じわー、じわーっと体の隅々に血が通っていく。水風呂に浸かって芯まで冷えていたはずの指先が、足先が、熱い。

ゆーっくりとして何も考えられなかった頭が回りだし、徐々に徐々に早くなるのを感じる。そして最後にパッと目の前が開ける。
あ、俺、生き返った。これ今、生き返ってたわ。

僕は水風呂で意識を失う、そのギリギリを楽しみ、力づくで動いて意識を取り戻すが、斉藤さんは水風呂後の休憩で徐々に意識を取りもどす感覚、生き返りを楽しんでるんだ。


出た後のこの笑顔。明らかに入る時より活き活きしてる。

あぁーサウナ、深い。意識の狭間に生き返り。日常生活じゃ意識しない事を実感させて、自分が生きている、生きたいということを教えてくれるし、色んな楽しみ方があってしかも気持ち良い。

銭湯から出た後の斉藤さんも凄く機嫌良いしきっとサウナの魅力を見つけてくれたんだろう。今回の企画、成功!

---斉藤さん---

サウナの後、一人でゆったりと露天風呂に入った。
小さな露天風呂からのぞく、青くて四角い空。天に伸びる一本の白い煙突。こんな東京の真ん中で露天風呂なんて珍しい、と思ったが、こういうふうになるのか。フッとセンチメンタルな気分になった。

ぼくは露天風呂の魅力を見つけた。


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