東京では現在建設中のスカイツリーが話題だが、まだまだ東京でタワーといえば東京タワーだ。(名前もそのままだし)
そんな東京タワー、実は歩いて登れるのをご存知だろうか。
今回は「激高!」ということで、せっかくなので高所恐怖症の方といってきました。
(恐怖 by 宮城 剛, text by 石川 大樹)
階段で登れるんですよ
毎週土日と祝日は階段が解放されていて、ふもとにある建物(フットタウン)の屋上から、150メートルの高さにある大展望台まで、歩いて登ることができる。
青い矢印のところが階段で上れる部分
そして登るのはこの方である。
エアギタリストの宮城さん
内輪の話で恐縮だが、ちょっと前までこのサイトで高所恐怖症といえばライターの住さんだった(参考リンク)。その後いろいろ事情もあり住さんが休筆ということになり、デイリーポータルZの高所恐怖症枠がぽっかり空いた。そこへ「ここは僕が!」と名乗り出てくれたのが、宮城さんである。
ところで宮城さん、ただでさえ「ヒゲ」「ちょんまげ」「エアギター」「アイスクリーム大好き」などなど、特徴過多のキャラクターである。
そこへ今日新たに、「高所恐怖症」を加えようとしている。キャラづくりは大事とはいえ、いくらなんでも詰め込みすぎではないだろうか。
初対面のノッポンに、「ヒゲ」のジェスチャーで迎えられる宮城さん
笑顔の出発
さっそくスタート
タワーと同じ真っ赤な色の階段を登り始める。ところどころにゆるキャラののっぽんがいて、今の高さや段数を教えてくれる。
この時点ではまだまだ余裕の宮城さん。インタビューついでに、高所恐怖症の話を聴きながら登る。
まだ足取りは軽い
まだ12段くらいしか上ってないのにまたポーズをとってくれる宮城さん
宮城「高いところに行くとすごく恐いんですけど、いったん降りると忘れちゃうんですよね。
たまに誘われると怖さを忘れてるから、『高所恐怖症そろそろ直ったんじゃないか』と思ってついて行ってしまう。」
「そろそろなおったかも」と思う気持ちはよくわかる。僕も同じような癖があって、逆上がりができないのに「大人だしそろそろできるかも」と思ってたまに挑戦したりする。そして毎回できない。宮城さんも、きっと今回も恐い思いをするのだろう。
100段目、笑顔が消えた
100段目に到達
この階段、全600段ある。600段というと長く感じるが、実際には15分くらいで登り終えてしまい、少し拍子抜けする。
いま宮城さんは100段目にいて、出発後まだ3分くらいしか経ってない。スタート3分、早くも左の表情である。
ここからは僕のコメントは控えて、宮城さんの写真と発言をどんどん載せていこうと思う。
一緒に登っている気持ちになって読んでください。
カメラに向かってスマイルするも、手はガッチリと手すり
うーん、まあまあ高いかな…
このへんから、登るときも、手すりオン
宮城「実家がマンションの9階なんですよ。だから11階くらいまでの高さなら大丈夫。でもそれ以上は恐いです。11階までは大丈夫なんです。」
200段くらい
宮城「高層階でのワインパーティーとかならいいです。下が見えないから。屋上ビアガーデンも端っこの方じゃなければOK。でも酔っぱらっちゃうのは恐いですね。「余裕、余裕!」とか言いながら落っこちちゃいそうで。」
手すり、両手もちへ
300段
手すり二刀流へ。万が一、片方の手すりが壊れても大丈夫
宮城「僕の高所恐怖症は想像力のたまものだと思うんですよ。「もしなにかあったら」…という。イマジネーションなんですよ。」
柵からいちばん遠い位置で景色を観賞する宮城さん
400段
宮城「小学校の頃、遠足で東京タワーに登ったんですけど、その時ちょうど地震があったんですよ。みんな「地震!」って騒然となったんですけど、僕は高いところにいる時点で元々恐かったんで、地震は怖くなかったです。」
石川「お台場の観覧車と同じ高さらしいですよ」 宮城「どうでもいいですよ」
400段、下を見下ろす
宮城「わざわざ高いところに住む意味がわからないです。エレベーター乗ってるときに停電になったらどうしようもないんですよ!中からも外からも出入りできないんですよ!」
瞳孔ひらいてきました
500段
徐々に死の匂いが漂ってくる
生きろ、宮城さん
イマジネーション系高所恐怖症の宮城さん、高いところでは「落ちたら死ぬ」と心配になってしまうそうだが、端から見る限り、落ちる落ちないにかかわらず今にも死んでしまいそうである。冷や汗はかくわ顔色は悪いわ。
階段は残り50段ほどとなった。
このあたりから階段は室内に入る。外が見えなくなってちょっと元気が出た
そしてついにゴールイン(するも、体は傾いている)
顔面蒼白すぎて、ちょっとハンサム
アゴを伝う冷や汗
ゴールしても高い
階段を登り切ると、大展望台にでる。生気の抜けた宮城さんとともに、展望フロアに降り立つ。
「意外と短かったですねー」とか話を交わす間も、宮城さんはまったく壁から離れようとしない。
東京タワーには、もっと高所を満喫できるスポットとして、ガラスの床や、さらに高い特別展望台などもある。しかし僕らの宮城さんはもうこのへんで限界のようだ。
目を離すとすぐに壁際に寄っていってしまう
「ちょっと端っこまで行ってみてもらえませんか?」って言ったら手すりにタッチだけして戻ってきた宮城さん、そのタッチの瞬間
予想以上に本気でした
宮城さんは、僕が思ってた以上に本気の高所恐怖症だった。
ちなみにこれだけは弁明しておきたいのだが、最初に「激○」の企画を持ち込んだとき、「激高でいきましょう!」って言ったのは宮城さんなのだ。しかも企画案には「バンジージャンプ」だの、「高さ10mの飛び込みプール」だの、かなりアグレッシブな高所が並んでいた。
こうして、宮城さんは新しいキャラ「高所恐怖症なのを忘れて高いところに行きたがって、ひどい目に遭う」を手に入れたのだ。
お客様の声に「高くてこわいです」って書いてた