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フェティッシュの火曜日
 
めんつゆは北へ行くほどでかくなる?〜めんつゆのプロにインタビュー〜
セレブ的節約メニュー

油揚げを焼いて焼肉のタレをつけて食べて肉気分! という食べ方を聞いて試したことがある。

10年くらい前だろうか。かなり本気でお金を貯めていて食費を切り詰めていたのだ。

油揚げは安いスーパーの何枚か入って100円以下のもの。焼肉のタレも一番安いやつを選んだ。肉の味はしなかったけど、これはこれで美味しいわと思って食べた覚えがある。

でも、思ったのだ。そういうお金がかからないメニューも、かけようと思えばお金、かけられるよなあと。高い油揚げを使って高いタレにつければ下手すると安い肉より高価かもしれない。

節約メニューを高額食材で作って食べてみました。

(text by 古賀及子



セレブの冷やしトマトが大変だ

冷やしトマトがすごかったんだ。

おっと、いきなりすみません。今回の企画を思いついたのは、セレブの冷やしトマトを食べてのことだったのです。

友人が実家から送ってきたからといってくれた「スーパーフルーツトマト」という銘柄のトマト。これがもう異様な美味しさだったのだ。

調べれば安くも買えるようだけど、デパートなどで買うとそれこそ500円以上することもある品物らしい。

500円! それって野菜の価格じゃない。500円といったらなんかもっとすごいいいものの価格だろう。ヨックモックとか! と、うまくたとえの見つからないうろたえ方をしながら、食べたらまたすごかった。


今回、お値段の張るものの写真はせっかくなので大きく載せました。色の補正なしでこの赤さ

甘いくて、さわやかで、すっぱさが丸い。こりっとした固さがあって、食感ちょっと普通のトマトとは違う。初めての味わいがある上に、すごく美味しい。

セレブの人はこんな冷やしトマトを食べているのか……。

そんな思いだった。やっかみというよりも、ほとんどこれは驚愕だ。

フルーツトマトというものはジャンルとしてトマトと違って、普通のトマトと同じように料理に使えないなど、普通のトマトと比べるものではない、ということは分かっていながらも、単純に高いトマトの美味しさに私は真後ろに倒れたのだった。

で、このときにひらめいたのだ。

セレブの人は、もしかしたら ねこまんまとか、もやしだけの炒め物とかでも、私たちとは違う美味しさで食べているんじゃないか、と。


ちなみに普通のうちのトマト。いろんな料理に使えるし、これはこれで美味しい

高級スーパーで節約メニューの食材を買おう

節約メニュー、しかもマンガなんかにありそうな、いかにも学生のびんぼう時代を彷彿させるメニューを高級な食材で作る。具体的なメニューは何にしようか。

あれこれ考えた。まずはやっぱり もやし炒めだろう。他に具のないもやしだけのもやし炒めはいかにもなびんぼう物語を連想するじゃないか。

それからねこまんまは節約、というよりもお行儀の悪いメニューというイメージだけど、だからこそセレブの食材で作るとどうなるか気になる……。

あれもこれもと考えて食材を取り揃えるべく向かったのは高級スーパーの雄、紀ノ国屋だ。


待つ犬がまたシュッとしてかっこよかった

何しろ「雄」である。徒歩で通りがかった私の行く手を、買い物を終えて駐車場から出るベンツ、ベンツ、あとジャガーがさえぎった。おお、雄。

で、そんな雄と対峙しての結果。調理予定のメニューが、半分になった。

バター、2500円

高いのだ! 食材が!

いや、高いものを買いに行ったのは私なのだけども、それにしても高い。「高くて手が出ない」という状況を完璧に体感した。

今回は「高くても手を出さなければならない」(だってそういう企画ですもんね)はずなのだが、あまりの高さにどうにも手が出ないのだ。

焼肉のタレのコーナーへ行けば1本1000円なんてのがあり、バターとなると高いものだとひとつ2500円する! じゃあマーガリンと思っても有機だとかなんとかで500円。そんな牙、むかないでくださいよ。


もやしも89円したぞ

庶民の1000円に、セレブは4000円かける

記事のためがんばって買おうとお金もおろしてきたが、心のブレーキがかかりにかかって予定の買い物が半分しかできなかった。

結局、努力して買えた品から今回作るのはこちら。

・もやし炒め
・油揚げ焼肉
・ねこまんま(かつおぶしバターしょうゆご飯)
・じゃがバター
・きゅうり
・落花生

なんとつつましいメニューだろう。

しかし、これを作るのにセレブはいくらかけるかというとなんと4000円なのである。紀ノ国屋のレジで震えて会計を待つ私の心、みんなに、届け。

なお、同じものをいつものスーパーで買って比較しようとしたら、そっちの会計は1000円ちょいだった。

セレブ、すごい。すごいよ、セレブ。なんだかもうすごすぎて気持ちが応援に回った。かっせーかっせーセーレーブ!

なお、最後の2品、きゅうりと落花生はメニューですらないが、これは後述させてください。ではまず、もやし炒めから作ってみましょうか。


落花生も900円以上した。買って疲れる品物ってすごい

わざとびんぼうくさく作っていきます

お金のかからない食材で工夫して豪華で健康的なものを作っている方はたくさんいると思う。

が、今回はセレブな食材にトホホメニューを演じてもらうというのも狙いのひとつだ。

だから、もやし炒めの具はもやしのみとした。そして、味付けは味塩コショーだ。

びんぼう時代の節約メニューってとかくジャンクになりがちじゃないか。カップ麺を食べ続けたりする延長でのもやし炒めといイメージで作った。


紀ノ国屋にあった味塩コショウは「香味塩こしょう」262円。あるものが道の駅っぽいのも高級スーパーの特徴か どちらかというと、商品展開は岩塩だとか外国のテーブルソルトが主。しょっぱいだけじゃない塩が大充実

湯通ししたもやしを、サラダ油で炒めて味塩こしょうで味付けするだけ。

比較のために、近所のスーパーで買った28円のもやしと100円の味塩コショーでも同じものを作る。


普通のもやし炒め 調味料込み128円

そういえば、炒め油はセレブ専用のものをこのためだけに買うのがどうしてもはばかられ、両者に自宅のサラダ油を使ったこと、お許しください。


セレブのもやし炒め、調味料込み351円

セレブのもやし炒めは、うまい  >
 

 
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