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コラボ企画
 
めんつゆは北へ行くほどでかくなる?〜めんつゆのプロにインタビュー〜

ルクエのスチームケースとは

ルクエのスチームケースというのは知らなかった。電子レンジで蒸し料理ができる調理器具らしい。新たな調理器具や料理方法がこんなにどんどん出てきているとは。

そうめん需要を夏の天候で伺いながら、人々の胃袋の大きさを考え、そして料理の流行も横目でにらむ。

大変だろうお仕事だが、純粋に「頭の中が美味しいことばっかりになりそうだなあ」と思ってしまった。失礼しました。


レシピ冊子にも載っていた蒸し料理。オー! 低カロリー!

めんつゆも、出来立ては美味しいの?

と、ここまでダダダダダーっと興味のままにお話を聞いていってしまったが、そういえばそうだ、めんつゆってそもそもどうやって作られているんだろう。

恥ずかしながら今までただただ「うまいつゆ」としか考えていなかった。

工場での詳しい工程はヤマキのホームページ「かつお節・だし研究所」の「めんつゆ工場見学」に充実のコーナーがあるのでそちらにゆずるが、ざっくりいうと、かつお節でとった「出汁」と、醤油・砂糖・みりんなどで作った「かえし」を混ぜて作るらしい。

ということは、その混ぜたてはやっぱりおいしいのだろうか?

−−調合してすぐのものは、おいしいのでしょうか。

新木:そうですね。工場ではこの調合後すぐのものを“原液”と呼ぶこともあるようです。実際は商品自体が2倍濃縮ですので“原液”なんですけどね。

うーん、そうですね。やっぱりおいしいですよ! だしの香りが立つといいますか……。


工場にて、混合攪拌はこの中で!(ヤマキ株式会社提供)


新木:ただ、ろ過の前なので荒々しいところもあります。ろ過をすることで味がクリアになるんですね。

最近“無ろ過”を売りにしたプレミアムビールが売り出されていていかにもおいしそうだが、めんつゆに限っていえばやっぱりろ過は必要なのだ。

でも、やっぱり原液もいつか飲んでみたいものですのう。


こちら、セラミックろ過と濁度管理の工程が行われている現場。か、かっこいい…(ヤマキ株式会社提供)


殺菌の後、水を豪快にかけて冷やす

さらに、サイトの工場見学コーナーに掲載されていてその豪快さに驚いた工程が、殺菌後の冷却だった。

−−ビン詰めして殺菌したあと、そのビンに水をかけて冷やしているのに驚きました。

新木:殺菌を90℃で行うので、一番いい冷却方法というと水なんです。


このように、ビンの上から水で。まさかと思うような冷却方法(ヤマキ株式会社提供)


めんつゆ達がいっせいにシャワーを浴びているようでちょっとかわいらしいですね。

味の変更には熱い議論も巻き起こる

と、工場せっせと作られているめんつゆだが、味は時代に合わせて変えることがあるらしい。

−−これだけたくさん作っているめんつゆの味を変えるというのは、会社にとってかなりの一大事ですよね

新木:昨年変更を加えましたがやはり苦労はしますね。

市場の流れとして、めんつゆは甘くなっている傾向にあるんです。その流れとヤマキのめんつゆならではの醤油と出汁の味を引き立たせるところのバランスをとりながらの変更になりますので、流行の味に抵抗のある層と熱い議論になったりもしますよ。

めんつゆはいろいろなメーカーから出ているが、かなり甘めの味を売りにしているものもある。

トレンドに寄っていきつつも、ならではの味を残していくのは大変だろう。

そうだ。氷結ストロングみたいに、甘みが少なくて、出汁や醤油感のつよい商品を別に打ち出すというのはどうだろう。「めんつゆストロング」だ!

新木:うふふ、いいですね。でもめんつゆは1商品で、1本で勝負したいというのがありますね。分散させずに、びしっと。


氷結STRONGは早く酔えると評判のお酒です


市場調査は「揖保の糸」で

−−甘い味が流行している、というようなことはどうやって調べるのですか?

鈴木:市場の好みの動向については、リサーチ会社に依頼して20代〜60代と幅広い世代に試食をしてもらって調査しています。

社名を隠して、めんを食べ比べてもらうんです。

おお! それはぜひとも参加してみたい試食会。

−−ちなみにそういった場合は何を食べて試食するんですか? やっぱり……

鈴木:そうめんです。前回は確か…揖保の糸だったかな。


そうめんの定番中の定番、揖保の糸


試作は1リットル、レシピは1トン

−−味の変更をするとき、試作はどれくらい作るものなんですか。

新木:数え切れないほど作りますね! 試作品は1リットルで作ります。

いざ正式に作るとなると1トンのレシピにしなくてはいけないので、1リットルで作っても1000倍の量になるわけですよね。ただ、1000倍なら味の誤差がほとんどないんです。


同じカレーでも1人前作るのと20人前作るのとでは同じ量の材料を使っても味が違うが、(こちらの記事参照ですぞ)つゆの場合は1リットルで誤差が出ない!

1トンめんつゆを作る機会があったら、ぜひこれは参考にしたい情報だ。

が、そのようなチャンスがあまりにも無さそうでちょっとうろたえた。


開発現場についてお答えの新木さん。目の前にある、めんつゆ、真ん中のがちょうど1リットル入りです


さあ、使おうぜめんつゆ

めくってもめくっても、出てくる話は私の大好きなめんつゆだ。私は大満足だが、みなさん、大丈夫でしたでしょうか。大丈夫ですよね。

このインタビューのあと、撮影のためずらっと並べためんつゆを、なんと「よかったらお好きなだけお持ち帰りください」と振舞っていただいたのだ。

夢か、これは。

私は憧れの1.8リットルタイプをいただいて胸がいっぱいになっていたのだが、今になればなぜ「あと、あと、1リットルタイプももう1本ください」といえなかったのかが悔やまれます。

ヤマキのみなさん、お答えいただき(そしてめんつゆをくださり)ありがとうございました。

取材先
 ヤマキ株式会社

「めんつゆ研究所」で「チョイがけ研究員」として活動してみたくなった方は、どうぞこちらへ!(2010.6.26追記)このキャンペーンは終了しました。

御用だ!

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