明暗分かれる新宿御苑
続いてやってきたのは、新宿御苑。到着が閉園間際になったため空いていた方だと思うが、それでも多くの花見客でにぎわっていた。
外国人の姿が多かったです
入園とほぼ同時に、不遇な花を発見してしまった。
どこにいるかわかりますか。(マウスオーバーで答え)
ちょっと踏まれ気味で花も垂れてます
ドン・キホーテの勇姿
ヒメスミレ(スミレ科スミレ属)
主に大きさの面で、桜との落差がでかすぎて全く太刀打ちできていない。風車に挑むドン・キホーテの逸話を思い出させる。
これまでずっと桜以外の花のほうに肩入れしてきたが、さすがに今回は「それは無茶だろう」と思わずにはいられない。
ところで、ちなみに僕が左の写真を撮っているのを見て、二人組のおばちゃんが「アラー!」と言いながら寄ってきた。僕の行いで、今ひとつの花にスポットが当った。こんなに嬉しいことはない。
そんな近くに生えるから…
あまり下草も多くないのに、なぜかヒメスミレだけやたら咲いている
ヒメスミレの視点。この視点で人間の巨大な足が迫ってきたら!想像にあまりある
花にやさしい人たち
なんだかんだ言って、新宿御苑では桜以外の花もけっこう人気があった。たとえば、
ツツジをバックに写真を撮る人たち
こんな花です
そして、衝撃的な事実を目にすることとなる。
通りすがる人たちが、たびたび目を止めていた白い花
シャガ!
この記事の1ページ目、上野公園でカバンに潰されたり敷物に下敷きにされたりしていた、あれである。ここでは見事にちやほやされている。
同じ花なのに、生まれてきた環境の違いだけで、ここまで大きな差が開いてしまうとは。なんたる非情。
胸を痛めつつ歩いていると、誰もがカメラを構える撮影スポットを発見。
カメラの先には、これ
しだれ桜だ。
では次に、よく見てほしい、今貼った写真に矢印を書き足してみよう。
ココ
あまりの肩すかされっぷりに、ちょっとしおれてきている
ぬか喜び
ラッパスイセン(ヒガンバナ科スイセン属)
この花、カメラを向けられる度に、「やった!」と思っていることだろう。そして次の瞬間に気づく。カメラの狙いは、後ろのしだれ桜なのだ。
向こうから来る人に手を振られたので振り返したら、相手は自分じゃなくて自分の後ろの人だった。人間で言えばこんな体験に近い。
続々とカメラがやってくるので、そんな肩すかしが10秒に1回くらいのペースで行われているのだ。こうしてラッパスイセンは、失意のどん底を、さらにどんどん深く掘り進んでいく。
すぐとなりには白い品種も
『ここにいるってば!』(ユニゾンで)
花視点。カメラの写像が頭上を素通りしていくのがわかる
ポージングは、全部のラッパスイセンをちょうど覆い隠す位置で
閉園直前に到着したためあまり長居はできなかったのでが、それでよかった。これ以上いたら僕の心はもう擦り切れそうだ。