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フェティッシュの火曜日
 
ヒューマンビートボックス超入門

質問タイム

レッスンはまだ続きますが、ここで一休み。

ちょっと自分でやってみてどんなものかがわかると、途端に聴きたいことがたくさん出てくる。素朴な疑問の数々をぶつけてみた。


体を使うのも大事。指を使ってビートパターンを覚えたり、ビートボックスしながら実際にドラムを叩く仕草をして、音のイメージを掴んだりする


喉が渇くので水分補給も大切です


一生懸命練習してるとこういう無防備な顔になります

息継ぎはどうしてるのか

正解は、「吸って出す音があるんですよ」。たとえばスネアは息を吸っても吐いても同じ音が出せるそうだ。他にも「吐いて出す音」「吸って出す音」が色々あって、それを使い分けることで息継ぎをあんまりしなくていいようにしているのだそう。

 

2つ同時にならすのはどうやってるの?

1ページ目の動画で、ベースラインを奏でつつドラムをかぶせているけど、あんなのどうやってやるのか。

「基本はごまかし」だそうで、たとえば、先にメロディだけ聴かせると聴いてる側はメロディを覚えてしまうので、そのあとは多少音が抜けたりしてもメロディが鳴ってるように聞こえてしまうのだそうだ。錯覚。

ただ、唇でドラムをならしながら声でベースをやる、みたいなこともできるそうで、全部が全部ごまかしてるわけではない。

発音原理から耳の錯覚まで、人間の体を知り尽くしてこそのヒューマンビートボックスのようだ。

 

モノマネとかうまいんですか?

これまでやってきたことも要はドラムのモノマネなわけで、そうなると普通に人のモノマネなんかもうまいんじゃないですか?

「自分が鳴らせる新しい音を考えるのが大好きなので、自分の体で鳴らせそうな音はどんどん取り込んでいってしまう」そうだ。特にKAZさんは効果音系を得意としているそうで、ヒューマンビートボックスにF1の音を取り入れたりしている。有名人の声マネなんかもわりと得意だとか。

こうやって、普通のドラムセットじゃ出せない音をどんどん取り込んでいけるのも、ヒューマンビートボックスの面白さのひとつ。


音マネ→ビートボックス→声マネまで続けてお聴きください

 


効果音的な音を使って、やってくれたビートボックス。踏みつけたときの「キュキュキュ」、そのあと引っ張り上げながらの「キュー」ももちろん全部、口


KAZさん持参のマイマイク。マイクを通すと息の音でかなり音圧が出るので、初心者もマイクを使うのがおすすめ


マイクがないときはこうやってやると、自分の音がよく聞こえる。普通にやると低音が耳まで届かないんですね


マイクはこうやって包み込む感じで持って、口にくっつけて息ごとボフボフ当てていくイメージ

音を作ること

ヒューマンビートボックスにカッチリ決まったルールというのはなくて、キックやスネアの音にしても、10人いれば10通りの出し方がある。

決まり事がないだけに、レパートリーを広げるためには、自分でどんどん新しい音をあみ出していかなきゃいけない。

そうやってどんどん新しい音が発明されるので、音楽の幅もどんどん広がっていく。昔はヒップホップのものだったヒューマンビートボックスも、いまではテクノでもジャズでもなんでもありだそうだ。

 

音の作り方

たとえば、KAZさんにきいた、ウッドベースの音を作るときの話。

ウッドベースの構造を考えると、あの低い音を出すには十分な長さの弦が必要
→人間の声帯の長さは決まってる。もっと長い素材はないか
→唇を使えば声帯より長い波形を作れる!

これにさらに低い声を重ねたりして試行錯誤を重ねて、ようやくウッドベースの音ができたそうだ。ただの音マネじゃなくて、楽器の構造まで考えてるなんて、思ったより相当奥深い。

ちなみにいちばん音づくりのインスピレーションが浮かびやすいのは「風呂場で全裸」だそうだ。「これは世界中のビートボクサー共通ですね」と力強く語ってくれた。

 


KAZさん得意のトランペットに石川が続きます

 

ヒューマンビートボックスちょっといい話

その他、コネタっぽい話を。

・屋形船に呼ばれてビートボックスしたことがある

・ビルの前で練習してたら警察が来て、「このへんでラジカセの音が聞こえるって通報があったんですが」

・ビートボックスを始めた最初のきっかけは、近所のショッピングセンターに来てたアカペラグループ

・あんまりやり過ぎると歯医者の麻酔みたいに唇が麻痺して、よだれが垂れてきますよ

などなど。話を聞いてるといろいろストイックなようで、でもあくまで「楽しんでる」感じが、心踊る。いちいち「俺もやりたい!」ってウキウキしてしまうのだ。

 

個人発表

基礎から初めて、新しい音の作り方まで教わった。

ちなみに、このへんになるとかなり筋肉が痛くなってきた。喉というか、首の横あたり。今まで意識したことのない、「え、そこ、いたの?」みたいなとこが痛くなります。

このあとしばらく個人練をして、ひとりずつステージで発表することに。


って、どうすりゃいいの


オーディエンスはたかが4人。といえどもすごい緊張するんですわ。だって上手ければビートになるけど、下手すりゃ口でブハブハ言ってるだけなわけで、なんだかうまくできなきゃちょっと恥ずかしいことになるぞ!みたいなプレッシャー。

みんなそう思っているのか、心なしか全員トイレも近くなる。そして発表の時間がやってきた。


テーマは、基本のビート+オリジナルの1音


見事に個性が出てておもしろい。練習でいろいろ模索したんだけど最終的にはわりと堅実に基本を踏襲した僕。そして大坪さんはビートもいい上に手の動きがそれっぽい。そしてこの状況でしっかりオチまで作る安藤さん。最後はアヴァンギャルドに飲み込まれていく大北さん。

しかし、いろんなイベントで何回もこのステージに立ったことあるけど、今回の緊張は格別でした…。

 

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