おしっこをするとき、人はみんな真顔だと思う。
どんなにひょうきん者でも、さすがにおしっこをするときばかりはへらへらしていられない。いいかげんな態度では、出るべきものもちゃんと出て行かないだろう。 だが、そこでの真剣な表情も普通は人に見せることはない。しかし、そんなプライベートをおおっぴらにしている像がある。小便小僧だ。 愛らしい子供像として市民権を得ている小便小僧。元気よく放尿中の彼らは、一体どんな表情をしていただろうか。そういうわけで、見て回ってきました。
(小野法師丸)
都会の無限カスケード
全国各地、いろいろなところに小便小僧は点在するようだ。中でも東京で最も有名なものと言えば、やはりJR浜松町駅のホームにある小僧だろうか。
地元の手芸グループが毎月衣装を替えているこの小僧(くわしいレポートはこちら)。放水の勢いもよく、実に威勢がいい。見る者に「負けらんないな!」と思わせるという形でエールを贈っているのかも知れない。
この愛され小僧、像全体を眺めたことはこれまでもあったのだが、どんな表情をしているかまでじっくり見たことはない。
同じ像なのに、角度を変えて見ると表情が違って見えるのがおもしろいところだ。ベースとしては虚ろな真顔、比較的に真剣に放っていることは読み取れるだろう。
車の通りも人の通りも多い、大きな道の歩道の脇に立つこちらの小便小僧。公園の隅にひっそりと立っているわけではなく、ロケーションとしてはかなり目立つ位置にある。
ポージングからしても特徴的なのがすでにわかるだろう。左手を挙げた余裕のスタイルなのだ。
もっとこそこそやるべきでは、とも言いたくなるが、そこは子供の無邪気さだろうか。
像を横から見たときの膝の曲がり具合は、男にしかわからないリアリティだろう。作者はやはり男性だろうか。
シチュエーションの特殊性からして、表情としては真顔とは少し違うタイプになる。小便の後ろ暗さを脱ぎ捨てた、明るくオープンな小便小僧。その点では珍しい像と言えるかもしれない。