何か仕掛けが・・・?と思ってしまうが、これもまた珍しい「隠し礼拝殿」だ。
この寺には前田家の殿様が祈願しに来るわけだが、その参拝には公式なものと非公式なもの、2通りある。公式は年2〜3回、月日も決まっているので当然、寺に事前通知があり、一般人は入れない。
いっぽう非公式参拝とは、城内で悲しい事や不吉な事が起こった際に、逐次お忍びで来る。よって寺への事前通知がない。
しかしそのタイミングで一般人は当然普通に参拝している。殿様が一般人と混じるわけにはいかないが、かといって一般人を追い出すのは宗教上好ましくない。
よってその日だけ、殿は場所を変えて、天井一段低くなっている例の中2階の部屋に参り、障子をちらと開けた隙間から仏様を拝んだのだという。こうすることにより、殿が民衆と顔を合わせずに済んだ、というわけだ。
すぐ近くで高貴な方が拝んでいるのを知らずに無心に拝んでいた民衆…想像すると、こっちまでハラハラと気が気でない。私もなってみたい(民衆のほうに)。 |