冬になるとなぜか、わざわざ寒い地域に行きたがるデイリーポータルZですが、今年はボクが行くことになったようです。
なんでも流氷で有名な地・北海道の紋別で氷柱にワシッと抱きつくおまつりがあるんだそうで……。なにが楽しくてそんなことをやることになったのか理解不能なくらい寒そうなおまつりですが、なんだかちょっと楽しそうじゃないですか?
……ということで林さんとボクで氷柱抱きつきにチャレンジしてきました。
(絵と文:北村ヂン)
氷柱に抱きつくおまつりとは!?
デイリーポータルZのウェブマスター・林さんからこんなお誘いを受けました。
遠くに行くの大好き、飛行機に乗るのもすごーくテンション上がるタイプのボクとしては北海道に経費で行けるなんて夢のような話。何しに行くのかも聞かずに、ふたつ返事でオッケーしたんですが、なんでも北海道の紋別で行われる「氷柱抱きつきまつり」というのに参加するためなんだそうです。
なんだか、とてつもなく寒そう……。でもまあ、バカらしいおまつりな予感ビンビンだし、いいネタになりそう、すっごく楽しみです!
……というわけで「オホーツク紋別空港」へやって来ました!
なんとこの空港、一日に東京から来る飛行機が一本、東京に行く飛行機が一本しかないという……まあ要は一日に一機しか飛行機が稼働しないミニマムな空港なのです。
飛行機もなんだかとっても小さいし、なによりタラップを降りて徒歩で空港に入るのなんてはじめてですよ。
空港自体もまた小さいんだ。まあ一日一機しか飛ばないんじゃこれで十分なんでしょうけど、ホントJR中野駅の半分くらいの規模です。
くまーっ!
小さな空港の中で異常な存在感を放っているのが、こちらの巨大なクマの剥製。さすが北海道といったところでしょうか……。
このクマ、平成10年に地元のハンターが仕留めたボス級の巨大クマなんだそうです。「じいちゃんが捕獲したアシナガバチの巣を玄関に飾る」的な手柄自慢を空港でやっちゃうというあたり、アットホームな雰囲気を感じますよね。
そしてホテルに一泊し、翌日。やって来ましたおまつり会場! あれ「もんべつ流氷まつり」? 「氷柱抱きつきまつり」じゃないの? とりあえず会場はここで間違いないようなんですが……。
それにしてもドドーンとそびえ立つ、三階建てビルの高さはあろうかという超巨大な氷の壁はスゴイ! 東京住まいとしては雪が積もっているだけでもインパクトある光景なのに、ここまでくると異次元クラスです。
あっと、おまつりのタイムテーブルが書かれた看板がありました。
あ、あったあった! 「氷柱ガマン抱きつき大会」……。あれ? 「氷柱抱きつきまつり」じゃなかったの?
氷柱に抱きつくおまつりだと思っていたのに、そこに「ガマン」と「大会」という要素が加わっちゃってます。
「氷柱抱きつきまつり」だったら、巨大な氷柱にみんなで「わーい」と抱きつくと、一年間無病息災で過ごせる的な……。まあ、地方に伝わるちょっと変わった風習って感じじゃないですか。
それが「氷柱ガマン抱きつき大会」になっちゃうと、なんちゅうか……罰ゲーム的な雰囲気が濃厚になりませんか?
それに、何かを競うものだとすると林さんもボクも体力ナシ、こらえ性ナシなので全然勝てる気がしません……。うーん、果たしてどんな大会なんでしょう!?
おまつり会場は雪と氷だらけ
ま、とりあえず「氷柱ガマン抱きつき大会」まではまだ時間があるので、おまつり会場の中を見て回ることに。こんな感じで氷像や氷で作られた建物などが沢山展示されています。
しっかしこの会場、雪と氷ばっかりで色味がほとんど白!
そして、メインの氷像がこの「ホワイトハウス」。白だけに……かな。昨年はオバマ大統領も話題になりましたしね。
それにしてもスゴイ! こんなの氷で作れちゃうんですね。ウワー! ウワーッ!
ちなみにこの裏は、最初に見た巨大な氷の壁です。
ほい、こちらは氷で作られたすべり台。
この、手前にあるのはドラえもんの氷像ですかね? ホワイトハウスのクオリティと比べるとかなりおおらかな印象を受ける造形です。でも、これはこれで味がありますよね……ねっ。
そしてすべり台は、氷だけにツルツルすべるのか、子供たちがものすごいスピードでビュンビュンすべり降りています。楽しいんだろうなぁ。
……とか思ってたら、あれっ!?
は、林さん!?
うおっ、すべってるー!
ズシャーッ!
ズゾゾーッ!
すべり台のゴール地点にはクッション代わりに雪が積み上げられていて、最終的にそこに突っ込んで止まるって寸法です。
「い……意外とすごいスピード出ますね。雪に突っ込んだら足、痛かったですもん」
それでもどこか嬉しそうな林さん。東京にいる時よりも少々テンション高めです。
ちなみにボクは前日に
こーんな強烈な存在感を放っているアザラシ型のすべり台を見つけて
「ひゃっほーい!」とアホ丸出しですべったら。
ジーパンの尻は凍りつき、財布は雪だらけ。
さらに、ご自慢のiPhoneまで雪まみれになってしまい「壊れてないかなー、壊れてないかなー……」と半泣きになってしまったので、もうすべりません。
林さんもボクも、寒い寒いと言いながらこんなにはしゃいじゃうなんて、やっぱり氷と雪には人をコーフンさせる何かがあるんですかね。
多分、子供の頃ならこんなにいっぱい雪があったら「かき氷食べ放題だーッ」と一心不乱に食いまくってたと思います。大人だからさすがに食べませんでしたけど……林さんも見てるし。
おまけ 壁紙「アザラシすべり台とそれを撮る林雄司」(1920×1200)
なんか妙に味わい深い写真になってたので壁紙にしてみました。みなさんも是非デスクトップに設定してみてくださいね。
さて、再びおまつり会場。
なんか巨大なすべり台を、なまはげと子供たちがすべってるー!
・なぜ北海道なのになまはげ? ・どうしてなまはげがすべり台を? ・子供たちは何事だと思っているのか? ・そして嬉しいのか?
様々な疑問が脳裏をよぎる光景です。
せっかくなのでボクらもなまはげを捕獲して写真を。
「わるいごいねがー!」
(なまはげの人もふくめ)全員がぎこちない秋田弁で雄叫びをあげて「氷柱ガマン抱きつき大会」への気合いを入れる! がんばるどーッ。