東京にはない東京駅
さて、続いてはこの記事の冒頭文でも東京名所の一つして挙げた東京駅について見てみたい。レンガ造りが有名な東京駅だが、2010年現在、復原工事を行っており、駅舎がよく見えない状況となっている。
クラシックで趣きある建物の様子がほとんど見えない。このことを知らずに遠方から来た方の中には、残念に思う方もいるのではないだろうか。工事の完成予定は2012年3月とのことなので、まだ先も長い。
しかし、こんな状況でも東京駅気分を味わえる駅がある。もちろんミニチュアや模型ではなく、本物の駅としてだ。
というわけで、やってきたのは「もう一つの東京駅」とでも呼ぶ駅。ご覧の通り、かなりの東京駅度。
実物をちゃんと見たことのない人に見せて何駅から聞いたら、「東京駅でしょ」と答えるのではないだろうか。特に右の写真、立体的な造形が豪華で格式高く見える。
ただ、東京駅を知ってる人からすると、「東京駅ってこういう橋上駅だったっけ?」となるかもしれない。
実はこの駅、JR高崎線の深谷駅なのだ。東京駅からだと普通電車を乗り継いで1時間40分ほどだろうか。そういう埼玉の北部にこの駅はある。
深谷と言えば「深谷ネギ」を思い浮かべる方も多いと思う。その深谷はここで間違いない。
確かに駅から少し離れると、ネギがモリモリと育つ畑が広がっていた。ではなぜ深谷駅は東京駅とそっくりなのか。
駅内にあった資料によると、実は深谷はレンガの町としての一面も持っているとのこと。東京駅を建設するときに使ったレンガはこの深谷で作られたことから、深谷駅は東京駅をモチーフとして作られたのだそうだ。
正確には構造上の都合で、レンガではなくレンガ調のタイルが使われているなどの違いはあるらしい。それでも、よくぞここまでやったという東京駅らしさは十分に出ていると思う。
実際、東京駅の現況を目にしてきたこともあってか、しばらく眺めていても飽きず、何度も何度も駅周辺をうろうろしていた。
本物の東京駅をちゃんと見られるのはしばらく先ですが、その雰囲気だけでも味わいたい場合は深谷駅はおすすめです。東京駅をよく知ってる人こそ、埼玉の奥にこうした駅がある不思議感を味わえるとも思います。
東京の有名観光地から、少し視点をずらして見て回ったスポットめぐり。きっと日本全国いろんな観光地に、似たような位置付けの場所があるような気がします。本家もいいけど、隠れスポットの方を見るのも楽しそうですな。