組み合わせれば「すごい」のではないか
家に戻りいろいろ考えた。そこで、ひとつの打開策を思いついた。「組み合わせる」である。山手線の駅名を全て言えるというのは別にすごくないが、それが子供となればテレビに出演できる可能性もある。むかし見た事がある。そういう、もうひとつ(先の例だと「子供」みたいな)要素を加えればすごいと言ってしまうはずだ。
もうひとつの要素は僕のジャグリングの次のプチ自慢である「タマネギのスライス」である。そこそこはやくタマネギのスライスが出来るのだ。これも単体ではすごくないが、組み合わせればすごいとなるかもしれない。マイナスとマイナスの掛け算の答えがプラスになるのと一緒だ、きっと。
日の出と共に出かけた僕のやる気はすごいが、それ以外はたいしてすごくなかった。一番の問題は、あまりスライスがはやくなかったことだ。普段はもっとはやいのだ。 言い訳をすればそれは寒いからだ。気温計を見たら10度を切っていた。九州育ちの僕は10度以下では手の感覚が無く、手を切ったらどうしようと考えてしまい、遅くなってしまったのだ。
さらに加えよう
子供の頃、嫌いな食べ物を頑張って食べると「すごい」と母がほめてくれた。これは地主家だけでなくてどの家庭もそうだと思う。なので、嫌いな物を食べつつ、ジャグリングをして、タマネギをスライスしてみようと思う。ちなみに僕の嫌いな食べ物はこんにゃくゼリーである。
こんにゃくゼリーを数年ぶりに食べた。やはり食感がダメだ。でも、ジャグリングですごいと言われたいがために食べた。 僕が5歳の子供で、母親が近くいれば「すごい」と言った思う。それはもう何度も。
すごいって何だろう?
地道にジャグリングの技を身につけた方が「すごい」と言われそうだと思い、この取材がすべて終わった後に、5つのボールでするジャグリングや、ジャグリング中にリンゴを齧る練習をしたがやはり出来なかった。芸の道は厳しい。お客さんからの「すごい」はそう簡単に引き出せるものではないということが分かった。そして、世の中にはいろいろなレベルの「すごい」があることも分かった。