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ひらめきの月曜日
 
できたての味の不思議・横浜銘菓工場見学


大興奮のアウトレットショップ

工場のわきにちょこんと置かれた小さなお店、10時開店のところ、私が工場に到着した9時45分くらいの段階でぽつぽつとお客さんが列になっていた。


ご覧の通り、人が絶えません

堀越さんによると「完全に赤字。廃棄するのは悲しいですし、地域への還元サービスという意味あいでやってます」という、工場で生産されている商品のアウトレットのお店だ。

工場の内部はおいそれとは行けない雲の上のような場所だったわけだが、このお店は行こうと思えば行ける手の届く場所。地に足のついた興奮がたぎった。

だって、これですよ!


タルトの台のところ!袋にいっぱいで50円! 「みみ」ってなんでこう魅力的なんだろう。50円!

なんかもう、やたら安い

もっとちゃんとした、パッケージまで行っているお菓子もたくさんあって激安だったのだが、ついついこういった製造課程で出た切れ端的商品に目がくらんでしまった。

ロールケーキの切れっ端とか、割れちゃったクッキーの袋詰めとか、少し焼き過ぎちゃった焼き菓子とか、そういう魅力ってある。きちんと包装されたきれいでスキのない商品とはまた別のオーラをびしばし放っていた。これは興奮だ。


ずっしりしたケーキが500円で「ちょっと高いかも」と思ってしまったのだから、全体の安さがうかがえよう


店内は大盛況で、店自体が狭いためレジに向かって並びながら両端の商品を品定めしてはトレイに乗せるという状態だった。

私も、アレもコレもと思いながら外れたタガをはめてはまた外しという状態であたふたしながら色々と選んで、勇んでレジに向かった。


ショコラクラシック、1ホールで300円! と、「未完成品」のステッカーが心ゆさぶるクッキー、100円!

本当はこのほかにもたくさん買ったのだけど、すみません、興奮してすぐに食べてしまって写真を撮るのを忘れてしまいました!

貴重な試食ができるかも

私が見学したラインは完璧に「ハーバー」が作られていて、こういったアウトレット品が出るスキはほとんどないように見えた。どういうタイミングでこういった商品が出るのだろう。

聞けば、毎日一番最初にラインをスタートさせる時の焼き加減の調整などで「ハーバー」にもアウトレット品が出ることがあるそうだ。


見学したときも、ほんのちょっとだけ検品ではじかれたものがありました

このお店ではそういったものは売らずに試食として振る舞われることもあるそう(たまのことらしいので、その日にあたったら超ラッキー)。

焼き立ての味が商品とちょっと違ったように、アウトレットで食べるのもまたちょっと違うんだろうなと思う。

子どもの頃はちょっと高級でなかなか食べられないお菓子だったのだが、大人になってここまで接近してしまった。「子どもの頃の自分に自慢したい」って言葉はこういうとき使うんだわ、とハッとしました。


復活パワーよ、永久に

じつはこの「横濱ハーバー」は、一度製造元の会社の倒産で一時市場から姿を消していた。地元からの声と元従業員の努力で復活したという過去を持つお菓子なのだった。

私はその頃には実家も埼玉に引っ越して、神奈川や横浜とはほとんど縁のない暮らしをしていたので全く知らなかった。

もしそのまま復活せずになくなってしまっていたら、もう売っていないことはもちろん子どもの頃好きだった思い出も全部忘れたままだったろうと思う。

復活の後、横浜開港150周年という大きな節目も追い風となって、菓完全に上がり調子だそうだ。忘れないように、これからは応援しよう。だって、おいしいもんなあ。

横浜開港150周年を機に、パッケージがあの柳原良平氏のデザインに変わった。変わってより懐かしくなってる不思議

以前のパッケージイラストは外箱で生きていた

取材協力
 株式会社ありあけ
 https://www.ariakeharbour.com/


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