デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


フェティッシュの火曜日
 
豆腐ようを手作りしてみた

でてきたのは味噌だった

あれから三ヶ月が経ち、半年が経ち、そして九ヶ月が経ち、買いだめした炭酸水を床下にしまおうとした際に、すっかりとその存在を忘れていたピンクの豆腐ようをようやく発見した。梅酒とかを漬けると、つい何度も味見をしてしまうものだが、これに関しては完全に記憶から抜け落ちていた。

いっそこのままそっとしておこうかとも思ったが、来年に持ち越すのもなんだか気持ち悪いので、今年のうちにけりをつけるべきだろう。

果たして、とりだした瓶の中には、ピンクの豆腐ようではなく、味噌が詰まっていた。


頭の中にハテナマークがたくさん浮かんだ。なにこの手品。あとなんで二つあるだっけ?

妻が中身を入れ替えたのかとも思ったが、こういう怪しいものには近づかないだろうし、外からよく見てみると、たしかに豆腐らしきものも入っている。

恐る恐る蓋をあけて匂いをかいでみると、やっぱり味噌の匂い、そしてプーンと酒臭い。ちょっとなめてみたら、味噌をみりんで練ったような味がした。けっこう甘い。


あのどぎつかったピンクはどこにいったんだろう。
ちょっと酒臭いけど、腐敗臭はまったくしない。

これはどうやら九ヶ月前に私が仕込んだ豆腐ように間違いないようだ。どうやら豆腐の大豆と米麹と泡盛で、味噌的なものと、みりん的なものができてしまったらしい。発酵ってすごい。

食紅由来のピンク色は、アルコール分と一緒に揮発してしまったらしい。あるいは入れなかったら白かったのかな。よくわからないけれどまあいいや。

どうやら私は、ものすごい遠回りの果てに、豆腐の味噌漬けにたどり着いたらしい。

 

ちゃんとした豆腐ようと見比べてみる

瓶から取り出した豆腐ようは、表面は多少くずれているけれど、しっかりとサイの目の形を保っていた。


甘酸っぱい待ち合わせに、予想と違う人が来たみたいなドキドキがある。

これだけ単体で食べても、これが豆腐ようなのか、豆腐の味噌漬けなのかがよくわからないと思ったので、ちゃんとした豆腐ようを買ってきた。豆腐ようを買ってしまうと、「手作りするより買った方が早い」という事実に気づいてしまって嫌なんだけど。

まず見た目の違いは大きい。買ってきた豆腐ようは紅麹で赤く染まっているが、自分で作った方は味噌色をしている。麹の粒の粗さがまた味噌っぽさを強調している。もっとドロドロになるまですりつぶさなければいけなかったらしい。


これが買ってきた豆腐よう。っていわなくても見ればわかりますね。
これが自分で作った豆腐よう的な、なにか。

匂いについては、違いはよくわからなかった。どっちも味噌っぽくて酒臭い。

 

中身とその味を確かめてみる

ちょっと切って断面をみてびっくりした。どっちも同じような茶色なのだ。固さ、質感もだいたい同じ。これはもしかしたら、漬け汁の色以外はちゃんとできたのかもしれない。


豆腐の少しザラっとした感じが全くなく、生キャラメルのような、クリームチーズのような、そういう質感。
手作りした豆腐ようも、市販品とほぼ同じ切り口。若干こっちのほうが柔らかいかな。

食べてみると、クリームチーズと塩辛を混ぜてナッツを足したような独特の味。両方ともだ。おお、味までちゃんと同じだった。少し市販品の方が甘みが強い気もするが、ビールの銘柄程度の違いしかない。

使っている麹が紅麹と発芽玄米麹(白麹?)という違いはあるが、たとえば焼酎でも、黒麹、白麹、黄麹といろいろな麹が使われるけれど、私にはその味の違いが正直よくわからないように、紅麹以外でつくった豆腐ようでも、だいたい豆腐ようの味になるようだ。


うまくできてうれしいので、並べてスペーシーに撮影。

漬け汁がピンクに染まった時はどうしようかと思ったが、なんだかんだで大成功といっていいのではないだろうか。今のところお腹も壊していないようだし。

作ったり買ったりで冷蔵庫に大量の豆腐ようが収納されてしまったわけだが、つまみはもちろん、なにかのソースや、なにかの隠し味に、なにかと重宝しそうでうれしい。


この味は、先日買った「ばかうけクリームチーズ味」に合う気がする。
両方の豆腐ようを塗ってみたところ、見た目は味噌と明太子みたいになったが、どっちも酒のつまみに最高。

手作りでも市販品に近い味になることがわかったので、冷蔵庫の在庫がなくなったら、今度は素直に市販品を買おうと思う。

そういえば豆腐は二種類あったんだ

床下の収納庫から豆腐ようの瓶を出したとき、なんで二つあるのかが思い出せなかった。たぶん量が多かったからだろうと、あまり深く考えずに試食をしたわけだが、この記事を書くために写真を見直して思い出した。この瓶の違いは、手作りの豆腐と市販の豆腐の違いだ。

あわててまだ手をつけていなかった方の瓶をあけて豆腐ようをとりだしてみたのだが、少しモソモソした感じはあるけれど、だいたい同じ感じだった。たぶんこっちが手作り豆腐の方だと思われる。

豆腐を二種類用意したことすら忘れるなんて、あのピンクの豆腐ようの記憶を、それほどまでに忘れたかったということだろう。

もうひとつの瓶の豆腐よう。このひとかけらで晩酌一回か、ばかうけ一袋がまかなえます。

< もどる ▽この記事のトップへ  

 
 

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.