長くて楽しいだけでは済まない収穫体験
収穫体験の受付をしたところ、ニンジンの植えられている畑は少し離れたところにあるとのこと。よい景色の中を散歩がてら歩いて、大塚人参の待つ畑を目指す。
メイン会場がにぎわっているのに対して、収穫体験会場の畑は人もまばら。それゆえなのか、地元の方がかなりのウェルカムオーラを出して迎えてくれたのがうれしかった。
説明によると、このあたりの土は地元の方言で「のっぷい」と呼ばれ、石などの混ざり物がないやわらかい土質とのこと。それゆえにニンジンも地中深くまで伸びるのだそうだ。
そう、地中深くまで伸びているのだ。親切に堀り方を指導してくれたあとは、「じゃあ、いい汗かいてね!」とスコップを託される。
いい汗って言われても、今は12月。結構肌寒い日だし、汗をかくってほどでは…と思っていた自分が甘かった。普通のニンジンとは比べものにならないくらいに深くまで掘らなくてはならないわけだ。
へっぴり腰で穴を掘る私を見て、地元の方は親切にコツを教えてくれる。笑顔でさくさく掘っているではないか。
他の家族連れを見ると、連れてきている子供は掘った穴に完全に体が入った状態で、さらにまた掘っている。大塚人参の長さからすれば、そういう状況になるのもよくわかる。
だからか。だから収穫体験の受付だけは人がいなかったんだ。そうだよね、自分で掘るのは大変だもんね。
さっきまでは「長え!長え!」とその長さを喜んでいたわけだが、ここでは長さを逆にうらめしくも思った。掘っても掘ってもニンジンは続いていて、作業を終わりにさせてくれないのだ。
こりゃ大変。いい汗ばっちりという以上に、急に体を動かしたのでくらくらしてくるくらいだ。
折らないように慎重に作業するのもプレッシャーがかかる。しばらくあくせくして、なんとか無事に掘り出すことができた。長さは60cmくらいだろうか。先ほど買った最も長いものと比べると、結構短く感じる。
それでも自分で掘るにはこれで十分の長さ。農家の方は機械を使って掘ることもするようだが、それでも普通のニンジンと比べると収穫は困難だろう。そういう意味でもレア野菜なのだと思う。
長い、おもしろい、おいしい、そして獲るのが大変な大塚人参。栄養面でも豊かで、会場となった「みたまの湯」のサイトによると、普通のニンジンと比べてビタミンB2は240倍、レチノール当量(ビタミンA)はなんと1800倍。なんだか爆発的だ。
普通のニンジンの立場がなくなるくらいすごい大塚人参。現地では3月いっぱいくらいまで販売されているとのこと。サプライズみやげ的な意味でも楽しいと思います。