緑黄色野菜の代表格であるニンジン。栄養がある、子供が嫌いがち、ウサギが食べてる、といったイメージの野菜だろうか。
普通に売られているニンジンは、長さが大体15〜20cmくらいのものが多いだろう。現在はこの「五寸ニンジン」と呼ばれるものが主に流通しているようだ。
しかし、中にはその数倍にまで長く生長するものがあるという。普通のを20cmとして、仮に3倍だと60cm。それよりもさらに長くなるらしい。
そんなニンジンの収穫祭があると聞いて行ってきました。
(小野法師丸)
「ニンジンが長い!」というテンションの上がり方
超ロングなニンジンの収穫祭が行われるのは、山梨県の中南部にある市川三郷町(いちかわみさとちょう)。産業としては花火が有名らしく、武田氏の軍事用ののろしから始まったものなのだそうだ。
他にもはんこ作りなどが盛んだそうだが、農作物として特徴的なのが今回レポートするロングニンジン。町内の大塚地区で栽培され、「大塚人参」と呼ばれているそうだ。
収穫祭が行われるのは、町内の温泉施設「みたまの湯」の駐車場。開会式では町の関係者の他、町をPRするローカルキャラクターもずらっと並んでいた。
町の特産品をモチーフにした、「市川三郷レンジャー」というキャラクターであるらしい。花火の炎とニンジンの絵はいいとして、はんこは「印」と漢字で表記。
わかりやすさと、もうちょっとどうにかならなかったのかという感が同居するたたずまい。そんな中、花火がドン、ドーンとあがり、収穫祭のはじまり を告げる。その合図でニンジンの販売が解禁となるのだ。
生産者の方が軽トラックの荷台に大塚人参を積んできており、来訪者はその中から選んで購入するという方式。
開会の合図の前からトラック周辺はなんとなくピリピリしたムードに包まれていて、花火とともにニンジンの授受が始まる。地元での評判があるのか、特に人だかりのすごいトラックもある。
中には「そんなに買うのか!」という量を購入していく人も。ニンジンが長いとテンションが上がる。それが適正量を買う判断力をおかしくさせるのだろうか。
そういう自分も6kgほど購入。ニンジンはまあ好きとは言え、そんなにモリモリと食べるものでもないだろう。そういう理性が頭 の片隅で働きつつも、「長い!」という興奮がそうさせたのだと思う。
この収穫祭では2kgを700円で販売。ネットで買えるところもあるようだが、それと比べるとずいぶん安い。
この大塚人参、大規模な流通に乗るような量が生産されるものではないので、この祭りと地元の直売所などで販売されるのがメインになるらしい。
700円買うごとに一枚もらえる福引きを開くと、そこにあったのは「ざるそば券」の文字。なんとなくほのぼのとうれしいではないか。
長さとしてはゴボウのようでもあるが、色はあくまでオレンジのニンジン色。長さそのものも一般的なゴボウよりも長いのではないかと感じる。
たくさん並ぶニンジンの中から、できるだけ長いのを選んで購入してみた。両手で掲げるとガンダム的なかっこよさも出てくるからすごい。
購入した中で一番長かったものを測ってみると、長さは93cm。さらに長いものは1mを超すものもあるらしい。ニンジンが長いというだけでどうしてこんなに楽しいのだろうか。