岡山県は津山に「つやま自然のふしぎ館」という博物館がある。
800体の剥製を筆頭に、貝や昆虫など約22000点の展示物があるそうだ。さらには、この博物館の創設者の脳や肝臓なども展示されていると言うのだから興味深い。
800体の剥製はさぞ迫力があるだろう。自分の死後、脳や内臓を展示されるのはどんな気持ちなのだろう。そんなことを考えていたらぜひ行ってみたくなった。
ということで、「つやま自然のふしぎ館」に行くことにした。
(地主 恵亮)
東京から岡山県の津山へ
家を6時に出て、新横浜から新幹線に乗り岡山へ向かう。岡山から津山行きの電車に乗り換えるのだけれど、その数の少なさに驚く。1時間に1本、多くて2本。30分待って2両編成のジーゼル電車に乗って津山を目指す。さらに1時間半の小旅行だ。
車内の人は少なく、ご年配の方が多い。岡山駅の周りはとても栄えていた気がしたのだけれど、電車の窓からの景色はどんどんと田舎の風景にかわっていく。のどかだ。 女子高生がひとり乗っていた。田舎の風景には不釣合いな今風のブレザーの着こなしの彼女は、携帯電話をいじっていた。「友の会」を見ているのだろうか? たぶん違うな。
つやま自然のふしぎ館へ向かう
事前に電話で問い合わせたら、歩いてすぐです、とふしぎ館の方は言っていた。シャッターが閉まり、「テナント募集」や「貸ビル」と書かれた張り紙の商店街を歩き、ふしぎ館に向かう。 ここに住むカップルはいったいどこでデートをするのだろうと思う。でも、僕には関係ないことなので考えるのをやめた。東京でだって僕は一人で原宿を歩くのだから。
10分くらい歩くと、津山城が見えてきて、そのふもとに今回の目的地である「つやま自然のふしぎ館」があった。入り口の瓦はいかにも城下町という感じがする。ちなみに建物は昔学校だったそうだ。中に入ると分かるのだけれど、いかにもな学校の階段や廊下があって、少し懐かしい。
入り口から圧倒される
入り口で館長さんに挨拶をして、ふと建物の入り口をみると、なにか動物が顔を出していることに気が付く。のっぺりとしている壁とは正反対のフッサ〜としたものが目に入るのだ。そのフッサ〜は、10年薄毛で悩まされた人がついに手に入れたロン毛のようなフッサ〜だ。
いきなりシロクマだ。 さわらないでくださいと書いてあるが、館長さんはさわっていた。関係者の特権だ。「取材なんで僕もさわっていいですか?」と許しを請いたかったが言えなかった。シャイなのだ。あ〜シロクマに触るチャンスなんてめったに無いのに。
シロクマを通り過ぎて中に入ると、今度はゴリラやキリンの剥製が飾られている。キリンの剥製もあるのかと驚いた(この後も驚き続けるのだけれど)。だってキリンはでかい。 キリンをペットとして飼うとしたら、吹き抜けの部屋が必要になる。吹き抜けはオシャレだけれど、冬場ストーブではなかなか温まらずに寒い。でもそんなデザイナーズマンションに僕は住みたい(話がそれた)。
この後もずっとこの「つやま自然のふしぎ館」に圧倒される。まだ入館して5分も経っていないの、案内してくれた館長さんに「すごいですね!」と言い続けていた。ここに訪れた人が感想を書くフリーノートと言うものがあって、パラパラめくるとそこにもやっぱり「すごい!」がみたいなことが連発されていた。みんな圧倒されるのだ。
フリーノートを見ていたら「朝早く彼女に起こされ、広島から来ました。そのかいがありました」と男性の文字で書かれた感想があった。僕は彼が「朝早く彼女に起こされ」の部分を書く必要があったのかを考える。