プラスチック板
プラスチックの板もかなり爪っぽい感じがした。感触も似ているし、なによりも切りかけの見た目がそっくりだ。免許証やピスタチオは素材の剛性が強くて、こうはいかない。
さっきから感触ばかりに注目していたので、見た目が爪っぽくなったのが意外だ。不意をつかれて思わず笑ってしまう。すごく楽しい。
しかし、楽しいのはいいのだが、「爪切りの楽しさ」と「爪切りの代用品を探す楽しさ」は全く別なんじゃないのか、という気がしてきた。
だって、ふつう爪切りの最中にこんなふうに笑い出したりはしない。
こんなに実験を繰り返して、「爪切り行為」に僕から近づこうとしているのに、実は全然爪切りに近づけていないんじゃないのか。爪切りは月か。真昼の公園でそんなことを思った。
爪切りの音はどうか
ここまで見過ごしていた。「音」に着目するのはどうだろうか。自分の爪切り音を、ICレコーダーで録音して聴いてみることにした。
しかし、これは失敗だった。安いICレコーダーを使用したせいだと思うのだが、とても爪切り音には聴こえない音が録音されてしまった。個人的には、妖怪アズキトギぽい音だと思う。実際聴いたことはないけれど。
まとめ
いくつか素材を試したが、硬いものを爪切りで切れば、どんなものでもそれになりに爪切りっぽい感触は得られる。あの感触は、道具に秘密があった、ということがわかった。
ただし、爪切りの楽しさというのは、どうも感触とは関係ない気がしてきた。たぶん、僕は爪切り時における「無心になれる時間」が好きなんじゃないのだろうか。今回は、昼間の公園で内省的になり過ぎてしまったので、どうも真逆の行動に走ってしまったような気がしてならない。
こんな薄ら笑いの写真が何枚か撮れた。楽しかったけれど、やっぱりちょっと違うよな