北海道に行った時、藻岩山で野生のリスを見た。 すばしっこく、僕の視界にリスがいたのはわずかな時間だったけれど、とてもかわいい印象を受けた。 一日中山の中を歩き、疲れきっていたけれど、夏のプールで遊ぶ子供のような無邪気な嬉しい悲鳴をあげてしまったのを覚えている。
そんなリスと戯れてみたいと思った。 肩にリスを乗せたりしたいと思ったのだ。そして、できるたけ多くのリス達で僕の肩を奪い合って欲しいと思う。
ということで、リスと戯れに出かけることにした。
(地主 恵亮)
井の頭のリス
リスはかわいい。 ディズニーのキャラクターにもリスはいるし、好きな動物は? と訊かれた時に「リス」と答えれば大抵は「何で?」と聞き返されることはない。みんな共通認識としてリスをかわいいというのがあるのだと思う。そんなリスと戯れるためにまず井の頭自然文化園に向かった。
井の頭自然文化園には「リスの小径」という70〜80匹のリスが放し飼いにされている施設がある。この施設の中ではリスが小学校の昼休みの校庭みたく自由に動きまわっている。
施設の中には人間が歩く通路があってそこを歩く。脇ではリスが、エサを食べたり走り回ったりしていて、もし学校なら学級崩壊と断言できるくらい自由に過ごしている。
僕が行った日、この施設には40人くらい人がいた。もし先生が「リスと人間で二人組みを作って」と言ったら、リスは余ってしまい、リスはリスと組むか、先生と二人組みを作らないといけない計算になる。もうホント、右を見てもリス、左を見てもリスという感じだった。
触ったらダメなのだそうだ
先に書いたように1人につき2リスくらいリスがいるけれど、ところどころに看板があって「触ってはダメ」「エサをあげてはダメ」などと注意書きがしてある。なので、僕の目標である「戯れる」を達成するには、偶然的にリスが僕の肩に登ってくるのを待たなければならない。リスはオリの中にいるわけではないので、そんな偶然がここでは起こり得るのだ。
この日は休日だったので子供連れの家族やカップルが多く、あちこちから「かわいい〜」や「触りたい〜」などの声が聞こた。そして子供やカップルの「キャ、キャ」という楽しそうな悲鳴も聞こえる。悲鳴にもいろいろあるのだ。楽しい悲鳴というものもキチンと存在するのだと僕は思った。
隣にいた40代くらいの女性の肩にリスが偶然乗ったのは目撃したが、僕に乗ってくることはなかった。その女性は「キャ」という楽しそうな悲鳴をあげていた。リスはその年齢層が好きなのだろうか? 世の中いろいろなニーズがあるからそれはそれで仕方がない。
ここはあきらめて、次のリススポットに向かうことにした。