素焼きの皿を崖から投げることで厄払いをするお寺があると聞いた。なんとワイルド。
幸い今のところ特に厄につかれて困っているわけでもないのだが、皿を崖から投げる部分には興味があったので軽い気持ちで行ってみることにした。
この軽い気持ちにバチが当ることになろうとは、このときはまだ知る由もない。
(安藤 昌教)
運命の分かれ道
目指すお寺へは行く手が二つに分かれていた。一方は「らくらく女坂」、もう一方は「きつ〜い男坂」だ。
こういう選択を迫られた場合、やはり「きつ〜い男坂」を選んでしまうだろう。その方が記事にしたとき見映えがするだろうし、なによりきつ〜いと言われるとどんだけきついのか挑戦したくなる。
この選択が10分後の僕を泣かせることになるのだが、その話は後にしてまずは目的の皿を投げる厄除けを先に紹介したい。
ここは神奈川県伊勢原市にある大山寺。「かわらけ投げ」というのがこの厄除けの正式名称で、素焼きの皿(かわらけ)を
・投げて厄を落とし ・砕いて厄を払い ・的を通して願いが叶う
のだそうな。
「かわらけ」は直径5センチほどのしっかりとした素焼きの皿で、本堂の脇で2枚300円で購入することが出来る。中心に彫られた「厄除」の文字がありがたい。販売所にいたおばちゃんは
「狙い通り輪をくぐったら報告に来てね。いいことがあるかもしれないのでね。」
と言っていた。輪?いいこと?どういうことだろうか。
かわいらしいので持ってかえりたくなる。
この素焼きのかわらけを崖下に向かって思いっきり投げることで厄を落とし、落ちて砕けることで厄を払い、的に通すことで願いを叶えるのだという。
的、すごい遠い
かわらけ投道場と書かれた崖っぷちに立つと、遥か下方に吊るされた巨大な藁の輪が見えた。
どうやら的というのはあの輪のことらしい。投げたかわらけがこの直径2.5メートルの輪をくぐると願いが叶うというのだ。和製ダーツ、とでもいおうか。それにしても遠いぞ。
狙いを定めて投げてみた。
素焼きのかわらけは風に舞うように輪からはかなり遠い木の幹に当って砕けた。あっけなく、2枚とも。
投げたことで厄除け、砕けたことで厄払いはできたわけだからこれでいいのか。でも輪は通らなかったので願いは叶わないということか。
少しだけ僕の話を聞いて下さい
まあ予想通りといえばそれまでなのだが、ならばこのひどい顔はなんなのか。
それはここまでに至る道のりが想像以上に厳しかったからです。登山とか不運とかに興味のある方は次からのページもご覧下さい。